また、IT系企業の優遇策として一定の条件を満たした企業に対し沖縄・本土間の通信回線費用を沖縄県が負担している。これにより東京並みの通信料金で仕事ができる。加えて、IT産業の集積拠点の形成を目指し、沖縄IT津梁パークの整備を推進中で、平成25年度には、アジアIT研修センターも併用開始予定だ。
人材面を見ると、沖縄は若い労働力の豊富さが特徴だ。全国的に人口減少の傾向の中、沖縄県は人口増加が続き現在140万人を突破、引き続き増加が見込まれている。
バイリンガル人材の多さも特徴で、人口1万人あたりの英検1級・準1級の合格者数は日本一多い。今後もバイリンガル人材の育成のために県は、企業で働いている人材の海外留学を支援する予定である。
12年9月には自然科学系の世界最高水準の研究・教育水準を有する沖縄科学技術大学院大学がオープンする。バイオとコンピューティングを複合的に組み合わせた最先端の研究施設として取り組みを進めており、これと連携してバイオ関連の産業を振興していく。
沖縄では失業率が7%台で推移しており、これをいかに引き下げるかが県にとって最大の課題である。
そのためには地場産業を育てるとともに、付加価値の高い産業を国内外から誘致して雇用の場を増やす必要がある。県ではこれまで約250社を誘致し、2万人近い雇用を生み出した。大震災以降はデータセンターを中心に300件以上の問い合わせが入っており、これらも積極的に受け入れていく。
国家的に厳しい状況に直面している今こそ、沖縄県ではかゆいところに手が届く優遇措置等で企業活動を支援し、日本の産業空洞化阻止に貢献したい。
※すべて雑誌掲載当時
(宮内 健=構成 向井 渉=撮影)