機械化の流れは至るところで起きている

今日、働き方の将来を考える際に、つねに念頭に置いておくべきなのは、デジタル技術の発達だ。そう遠くない未来に、デジタル技術が社会のすみずみまで浸透し、デジタルトランスフォーメーション(DX)が起こる。それが雇用に及ぼす影響を一言で言えば、省人化・無人化だ。

変化はすでに起きている。工場や倉庫だけでなく、接客などの対人サービスもロボットに置き換わりつつある。海外のコンビニや一部の駅のキオスクでみられるように小売店の無人化は今後拡大するだろう。フードデリバリーなどの配達サービスも、自動運転やドローンが実用化されると、人手は不要となる。

スーパーのレジを担当するロボットのイメージ
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20年後には約半分の仕事がAIやロボットに置き換わる

会社員のなかには、自分のやっている仕事は、アルバイトやギグワーカーがやるような単純なものではないので、そう簡単に機械には代替されないと思っている人も多いだろう。しかし2015年12月に野村総合研究所が発表したレポートによると、10~20年後、日本の労働人口の約49%は、その就いている職業が人工知能(AI)やロボットに置き換えられる。そこでの事務職の大半がなくなるという予想は、すでに現実化しつつある。銀行の窓口業務は、オンライン化により減少中だ。定型的なパソコン業務も、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の普及により自動化が広がっている。

もちろん、AIやロボットにできないこともたくさんある。ある個人がやっている仕事をそのまま機械が代替できるような場合は、それほど多くないかもしれない。職場がAI登載のアンドロイドだけになるというのは、SFの世界だ。だからといって、会社員が安心できるわけではない。

かつての駅には、どの改札口にも駅員がいた。切符が適正か確認して、それにはさみを入れるという作業を、ロボットがやるのはかなり難しいだろう。しかし、自動改札機を導入すれば、有人改札と同じ作業目的を達成でき、人間は不要となる。機械は、人間とは違うやり方で、正確で、迅速に、そしてしばしば安価に同じ目的を達成してしまう。自動改札機は一例だが、DXは、同じようなことが企業内、さらには社会生活や行政機関にも及んでいく。このようにして、人間の仕事はなくなっていくのだ。