閲覧履歴から「内定辞退率」を提供していた

ウェブ上でのサイト閲覧や商品購入などの行動が「データ」として蓄積され、次の行動の予測に使われる。さらに、ウェブ閲覧者個人の「信用度」や「格付け」などが本人の知らないところで行われ、それが価値のある情報として企業間で売買される。もはや個人の行動は「丸裸」といってもいい状況に追い込まれている。

写真=時事通信フォト
2019年3月1日、リクルートキャリアが千葉市・幕張メッセで開催した、2020年春卒業予定の大学生らを対象とした合同企業説明会

当然、「プライバシーの侵害だ」と感じる人も少なからずいる。だが、大方の場合、ウェブ上のサービスを利用する際に、細かい字で書かれた利用規約にある個人情報の利用に「同意」していることが多い。もはや便利なサービスを使う上での対価としてプライバシーを差し出していると、諦めている人も多いに違いない。

そんなネット上の個人情報を巡る問題が発覚した。

就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアが、契約先の企業が就職内定を出した学生について、「内定辞退率」を計算して提供するサービスを行っていた。その際、7983人の学生から十分な同意を得ずに情報提供を行っていた、というものだ。

採用活動を行っている企業からすれば、仮に80人の新卒学生を採用したいと考えていたにもかかわらず、40人が内定辞退するとなれば、人員計画は大きく狂ってしまう。内定者のうち何人が辞退しそうか、正確な人数を把握することが極めて重要になってくる。もし、内定者のうち、辞退しそうな学生が分かれば、会社に呼び出して面接を繰り返すなど、フォローすることも可能になる。