「日本語だからなんとかなる」と手を抜きがちな国語
中学受験は、国語、算数、理科、社会の4教科の総合点で合否が決まる。算数は小学校で習う内容とは大きくかけ離れていて難しいし、理科・社会は覚えなければいけないことがたくさんある。一方で、「国語は日本語だからなんとなかなる」と思い、他の教科よりも手を抜いてしまいがちだ。しかし、なんとかなると思っていた国語の点が思うように伸びず、志望校に合格できなかったというケースは少なくない。
一般的に中学受験の国語入試は、「物語文」「説明文・論説文」「漢字・語句」の3つで構成されている。なかでも子供たちが苦手とするのが、物語文だ。小学校の教科書に出てくる物語文といえば、同じ年頃の子供を主人公にした物語が多い。そのため、友達にこう言われたから悲しくなったとか、もしお母さんと離ればなれに暮らすことになったら寂しいなとか、自分と重ねて考えたり、想像したりすることができ、主人公の気持ちやとった行動を理解したり、共感したりすることができる。
2018年度の開成中学の問題が話題になった
ところが、中学受験の国語入試では、小学生の子供たちが知らない時代だったり、主人公が同じ年頃の子供ではなく大人だったりする物語が出ることがある。男子校の入試で同じ年頃の女の子の恋心を聞いてきたりもする。
近年、話題になったのが、2018年度の開成中学の国語入試だ。専業主夫の父とキャリアウーマンの母という家族構成の物語で、男子校の国語入試なのに、主人公はキャリアウーマンの母親。専業主夫の夫が自作の絵をインスタグラムに投稿していて、それがきっかけで個展を開くことになったけれど、夫が留守の間に作る子供のお弁当の卵焼きがうまく焼けずに心を乱す女性の心理が描かれている。
こうした物語を読むとき、「父親は会社員」「母親は専業主婦」という家庭で育った子供はイメージするのが難しいだろう。まして、キャリアウーマンの母親が子供の好物である卵焼きを作れなくて葛藤している姿など、幼い男子には「さっぱり想像できない」だろう。こうした大人の心の機微を聞いてくるのが、難関中学の国語入試なのだ。