拒否権を持つ中露が、制裁に反対している
8月4日付の読売新聞の社説は「国際社会の及び腰の対応がミャンマー軍を増長させ、独裁体制の構築を許している。日米欧は中露も巻き込んだ形で軍に圧力をかけ、ミャンマー国民を支援すべきだ」と書き出す。見出しも「国際社会は軍の増長を許すな」である。
この読売社説の主張は正論だが、問題はどうやって中国とロシアを巻き込むかである。
読売社説は指摘する。
「人道危機の状態になっているにもかかわらず、放置してきた国際社会の責任は極めて大きい」
「国連安全保障理事会は分裂状態に陥っている。米英などが軍への制裁を求める一方、拒否権を持つ中露が頑なに反対し、実効性のある措置を打ち出せていない」
国連の力不足は以前から指摘されてきたことだ。いまこそ、その批判をはね返すときである。各国が打算抜きに中国とロシアに対し、強い姿勢で臨む必要がある。
読売社説も「9月の国連総会では、ミャンマーの国連大使を巡る信任投票が行われる予定だ。軍に反対する姿勢を示して解任された現国連大使と、軍が擁立した新たな大使候補の間で争われる」と書き、「できるだけ多くの国が現大使を信任し、軍の暴挙を認めない意思を示さねばならない」と訴える。
国連総会で現大使への信任票をより多く集め、中国とロシアに強い意思を示すことが重要だ。それが中国とロシアを巻き込むことにつながるからである。