経済力以上のメダルを獲得している国々
最後は経済力以上のメダルを獲得している国々です。
図表3で確認すると、上位国でまず目につくのはROCです。国ぐるみのドーピング問題で、ロシアという国名では参加できませんでしたが、それでも、金メダル数では5位、点数で見た場合には、日本、英国を抜いて3位です。点数で見たシェアは6.7%です。
一方、世界のGDPに占めるシェアは1.8%ですから、メダル点数シェアとGDPシェアを比べた場合の倍率は、なんと3.7倍となります。経済力に比べて、メダル獲得数が格段に多いと言えます。
経済規模の小さな国では、ニュージーランド、キューバ、ハンガリーが目立ちます。メダル点数シェアをGDPシェアで割った数字は順に8.02倍、13.48倍、10.95倍。3国ともGDPのシェアでは0.2~0.1%程度しかありませんが、国の経済力に比して多くのメダルを獲得していると言えます。それだけ、オリンピックに資源を投入していると推測されます。
同様にオーストラリアやオランダも、経済力に比して多くのメダルを獲得している国だと言えます。GDPのシェアがそれぞれ、1.7%、1.1%とニュージーランドなどに比べて比較的経済規模は大きい国々ですが、メダルを多く獲得しているということができます(メダル点数シェアをGDPシェアで割った数字は順に、2.48倍、2.84倍)。
1人当たりGDPとの関係はあまりない
図表2には、1人当たりのGDPも載せてありますが、それとメダル獲得数とはあまり関係がないようです。ブラジルやキューバのように1人当たりのGDPが1万ドルを切る国でも比較的多くのメダルを獲得しています。
図表にはありませんが、1人当たりGDPが4000ドル弱のモンゴル選手もレスリングなどで銀メダル1つ、銅メダル3つと活躍しました。2000ドル程度とかなり低いケニアは陸上を中心に4つの金メダル、4つの銀メダル、2つの銅メダルを獲得しています。
豊かさを糧にスポーツに打ち込むことのできる選手を擁する国々、貧困をバネにがんばる選手を輩出する国々、そして、国の支援の度合いが、メダル数となって表れていると思います。