2人の老親の介護をひとりで背負った58歳娘が潰れなかったワケ
◆私の介護体験CASE 2 にゃんこちゃんさん(58)の場合
鹿児島県在住。母(92)は要介護4で現在同居中。父(90)は要介護3で、老健(介護老人保健施設)に入居している。兄が1人いるが、病弱で実際に介護するのはむずかしい。困ったときには相談に乗ってもらっている。
母(92)はこの4年間に2回骨折(股関節と大腿骨)して2カ月ほど入院したが、どちらも術後、院内でゆるやかに拘束されてしまった。そのためか「せん妄」がひどく、このまま治らないのではないかと不安になるほどだった。二度目の退院のあとは、夜間頻尿がひどくなり、ひどいときには10分おきに「おしっこ!」。おむつをつけてもおむつでは排尿できず、トイレに連れていかなくてはいけない。
母をわが家に引きとり、父(90)は3LDKのマンションにひとり残ることになった。しばらくして父の部屋を訪れると、部屋は汚し放題。父は足が萎えてうまく歩けず、トイレに行くのもままならない。部屋じゅうにおうが「これでいい」と言う。しばらくして、父は熱中症で緊急搬送されて入院し、退院後は施設に移ることになった。それを機に、部屋を引き払うことにした。
3LDKをまるごと処分。予算オーバーの97万円でも大満足の理由
私(58)と父は長年の確執があり、父の持ち物には何の未練もない。必要最低限のものを残してあとは処分することに決めた。家財整理の業者をいくつかあたったが、「トラック1台につき○○円」と提示されていたり、「1時間××円」と時間で決まっていたりと、統一された金額設定がなく、比較しようがなくて迷った。
結局、土・日・祝日対応で作業工程を細かく示してくれる業者に決めたが、提示された料金は97万円。予算は50万〜60万円だったので迷ったけれど、結果、大満足だった。わくように出てくる荷物、エレベーターのないマンション。3階まで階段で何度も何度も往復してくれた屈強なお兄さんたちには感謝しかない。部屋の処理を自分でした場合、奪われる体力と気力は100万円で補えるものではないと思った。