アメリカ発「FIRE」が日本国内でも広まりつつある。億単位の資産を作って早期リタイアし、その後は悠々自適……という夢のプラン。ファイナンシャルプランナーの山崎俊輔さんは、「米国流をそのままマネするのは、リスクが高い。日本流にアレンジして取り組むといい」という――。
現金を持って手のクローズ アップ
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ブームの「FIRE」基本ルールは「25年分の年収確保」と「4%ルール」

今、FIREがブームです。FIREとはFinancial Independence, Retire Earlyの略で、経済的な独立を果たし、早期リタイアを実現しようというチャレンジを指します。

アメリカのFIREムーブメントを紹介した書籍のいくつかが翻訳されベストセラー入りしているほか、国内のFIRE実践者の書籍もよく売れているようです。

基本的な考え方は、若いうちから「しっかり稼ぎ」「徹底的に節約して、投資資金を増やし」「資産運用を行う」。FIREの柱となる“ルール”は以下の2つです。

●「25年分の年収確保」

仮に年400万円でリタイア生活を送るなら1億円(400万円×25年)を貯めればFIREできるとされ、目標金額を考える基本ルールとされる

●「4%ルール」

リタイア後は投資などで年4%の収益をあげることをめざし、運用収益(1年分の生活費に相当)を活用することで元本の資産は永遠に減らずにすむ

それぞれのルールのシンプルさもあいまって、FIREといえば「1億円貯めてリタイア」、「4%の運用で一生安泰」と説明されるのですが、これは本当に日本でも通用する話なのでしょうか。

実は危ういところがあります。