日本でコンポスト(堆肥)葬はOKなのか、流行る可能性はあるのか?

では、日本でコンポスト葬が流行る可能性はあるのだろうか。私は時期尚早ではあるものの、仮に法整備が整えば、将来的にコンポスト葬が入ってくる余地はあると考える。

出典:堆肥葬を報じる「The Seatlle Times」(2021.1.22)のページより
出典:堆肥葬を報じる「The Seatlle Times」(2021.1.22)のページより

まず、法律の問題である。今のところ、コンポスト葬は日本では非合法に当たりそうだ。山野などに個人が勝手に遺体(遺骨、堆肥化した遺体を含む)を撒けば、刑法190条で定めている死体遺棄罪(3年以下の懲役)に觝触する。

一方で散骨は、日本各地で実施されている。「樹木葬」「自然葬」などの名称で呼ばれる地上型の散骨の場合、都道府県知事の許認可を得た霊園内に造られた特定の場所でのみ、散骨が許されている。

たとえば富士山麓などの風光明媚な土壌に眠りたい、自宅の庭に埋まりたい、あるいは田畠の肥料になりたい、と願っても実現することはできない。

日本における多くの樹木葬の場合、霊園内の敷地の隅に樹木や草木を植え、カロートと呼ばれる容器に遺骨を入れるスタイルが一般的だ。だがこれはあくまでも、「自然に還れるイメージ」を抱ける葬送にすぎない。その点、コンポスト葬は完全に自然回帰型の葬送法なので、斬新である。

海洋散骨の場合は、確かに「自然に還れる」埋葬法ではある。近年では1996(平成8)年に亡くなった漫才師の故横山やすしが、無類の競艇ファンだったことから死後、遺骨が広島県の宮島競艇場の海に撒かれた。

1998(平成10)年には自殺したロックバンド、X JAPANのギタリストhideの遺骨の一部がロサンゼルス近海に流されている。2011(平成23)年に亡くなった落語家の立川談志は、生前より散骨を希望していたことから、ハワイの海に撒かれた。

現在、年間死者数の1%が海洋散骨、堆肥葬受け入れの「素地」はある

日本では芸能人が先行する形で海洋散骨が始まり、ここ10年ほどで一般化した。現在、年間死者数の1%程度が海洋散骨を選択しているといわれている。しかし、海洋散骨とコンポスト葬は、遺族感情としてはかなり異なる。海洋散骨を望むような人が、コンポスト葬を選択肢に入れるかどうか。

むしろコンポスト葬は土葬に近い。しかし土葬への敬遠意識は、日本人はとても強い。日本では火葬率が99.9%と世界一の水準にあり、相対的に土葬へのタブー意識が強まってきているのだ。

九州でムスリム用の土葬墓を造成する計画が、住民の反対運動によって頓挫しているケースがある(プレジデントオンライン2020年12月15日「住民反対運動も“世界一の火葬大国日本”で在日外国人が望む土葬を受け入れられるか」)。コンポスト葬は、土葬に近い“生々しい”葬送なのがネックだ。

国民の宗教感情の問題もある。海洋散骨が人気といっても、まだまだ多く日本人は遺骨や墓を大事にし、一周忌、三回忌といった追善法要を実施しているのが実情だ。

また、世間体もある。特にイエやムラ意識が強い地方在住の場合、コンポスト葬を選択した時の地域社会の目はかなり厳しそうだ。

だが、葬送儀礼が縮小傾向にあるのは紛れもない事実。日本でも樹木葬や海洋散骨を選択する人々が増えてきている実情を踏まえれば、コンポスト葬受け入れの「素地」は、着々と進んでいるようにも思える。

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