医師会の最大の仕事は医者を増やさないこと

このような形で医師不足のために地域の病院の医師たちが疲弊し、多くの病院がそのために廃院になったり、縮小したりしているわけですが、これに関して医師会はまったく助けようという考えはないようです。

医師数などの規制緩和を求めることもなく、また外来診療と入院診療の報酬のギャップを埋めるどころか、外来の診療報酬も守ることに躍起です。

また、地方の医者不足の現状にしても、競争原理で医療の質を高めるためにも、医師数を増やせば解決がつく問題ばかりなのに、前述のように医師数が増えるようなことについては、一貫して反対の立場を貫いています。

今の医師会の最大の仕事であり、レゾンデートルであるのは、医者の数を増やさないことで、自分たちの権益を守ることではないかと疑ってしまいます。

そして、かつての日本医師会は、自分たちで勉強会を開き、開業医が大学病院の医者と対等の知識と技量を身につけることを目指してお互いに研鑽していました。

和田秀樹『コロナの副作用!』(ビジネス社)
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しかし現在の日本医師会は、各地の腕のいい医者を指導者にして、日本の医療現場の力を向上させようといった気概もまったくありません。

日本医師会では、生涯教育と称して、医者向けに様々な講座を開いてはいます。ただ、「認知症トータルケア」というテーマであっても、教えるのは実際にケアの臨床を行っている医者ではなく、大学医学部の教授です。認知症のケアなどやったこともない教授が講師を務めているのです。

アメリカの医者にとっては、腕の善し悪しが非常に大事で、腕の良し悪しで患者の集まる度合いが決まり、それによって収入が決まります。アメリカでは、専門医になるための試験問題をつくるのも、「ボード」と呼ばれる地元の名医たちです。

ところが、日本の場合は学会専門医ですから、教授たちがつくった重箱の隅をつついた問題を解いた人が専門医になります。アメリカの専門医と日本の専門医はまったくの別物で、日本の専門医制度は、臨床の腕を保障しているわけではないのです。

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