新型コロナワクチンの接種率を高めるにはどうしたらいいのか。精神科医の和田秀樹氏は、「ネックになるのは、感染しても軽症や無症状なのに、なぜ高熱や頭痛が起きる可能性があるワクチンを接種しなきゃいけないのか、と考える若者たちです。政府は、彼らが接種に前向きになれる具体的なメリットや目的、戦略を語るべきだ」という――。

※本稿は、和田秀樹『コロナの副作用!』(ビジネス社)の一部を再編集したものです。

Covid-19ワクチンのバイアルに入る注射器の針
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接種目的があやふや「接種後は自由に出歩いて会食OK」と言わない

日本人は、目的と手段をはき違えることがままあります。手段だったことが、いつの間にか目的にすり替わってしまうのです。それは、「何のために、何をするのか」という意識が希薄だからでしょう。

新型コロナの感染者を減らすためには、人と人との接触機会を減らすことが有効なのは明白です。しかし、感染者を減らすために、「接触機会を減らす」以外の方法については研究が進んでいません。いつしか、人と人との接触機会を減らすことが目的であるかのような新型コロナ対策ばかりになっています。

マスクにしても、仕事場や飲食店のパーテーションにしても、何のためにその手段を講じているのか、あやふやなままに「ただマスクを着けていればいい」「パーテーションがあればいい」ということになってはいないでしょうか。

そして、新型コロナのワクチン接種についても同様のことが言えます。

「何のためにワクチンを接種するのか?」

海外では、「普通の生活を取り戻すため」にワクチン接種が行われています。目的が明確です。

しかし日本では、2回のワクチン接種が終了した人に対して、優遇策がやっと検討されている程度で、「ワクチンを接種したら自由に出歩いて会食をしてもいいですよ」などといったワクチン接種のメリットのアナウンスも現時点(2021年6月現在)では、一切ありません。

ワクチン接種が進んでも「マスクを外すな」が日本式ニューノーマル

欧米の人たちがマスクを嫌がるのは、顔を見てコミュニケーションをとるという基本的な行動が奪われるからでしょう。だから、アメリカやイギリスでは、ワクチン接種が進んだ段階で、マスクなしでコミュニケーションをとることがすぐに許されました。

一方で、日本だけは、ワクチン接種が進んでも「マスクを外すな」と言いかねず、自粛生活をそのまま続けているのではないか。そんな疑念を私は抱いています。

新型コロナ後の新しい生活様式を「ニューノーマル」などと表現していますが、それが「全員がマスクを着けたまま自粛を続ける生活」のことではないことを、祈るばかりです。