コンポタージュ味が大ヒット、3日間で販売休止
そして、06年には「ガリガリ部」なるファンクラブを発足。立ち上げ数カ月で5万人の部員を集めると、部員の要望に応えて作った「マンゴー」が大ヒットとなる。さらには、ガリガリ君の販売本数が落ち込んでしまう秋冬には、対策としてガリガリ君の妹「ガリ子ちゃん」を作り、冬でもおいしく食べられる商品を投入。しかし、味よりもネット上では「ガリ子ちゃんが萌え系なのか」という論争が立ち上がるほど話題に。
次に、大人向けにガリガリ君リッチシリーズ「ミルクミルク」を投入した結果、翌年の07年には年間販売本数2億本を突破! その後も、さまざまなコラボを展開するなどして話題を席巻。09年には「箱根小涌園ユネッサン」で「ガリガリ君温泉」までオープンすると、この年に販売本数2億4500万本を達成し、異例のスピードで日本一のアイスに登りつめた。10年にはワールドカップとコラボし、この年に稼働した新工場を公開し工場見学を開始すると、予約が取りづらい工場見学として話題となり、今まで以上に大規模なマーケティングを展開して、年間販売本数3億本を突破した!
12年にはあの伝説の味「ガリガリ君リッチ コーンポタージュ」が発売され、あまりの売れ行きになんと販売開始後わずか3日間で販売休止となり、たった2年で販売本数3億本から4億本へと成長する。
ナポリタン味はこだわりすぎて失敗
しかし、開発ストーリーを担当者から聞くと涙ぐましい努力があった。きっかけは、バラエティー番組で真夏にあったかいコーンポタージュを飲む企画を目にして、「コレだ!」と思いついたそうだ。「暑い日に温かいコーンポタージュを飲んでもおいしいから、アイスにしてもおいしいのでは?」と思い、社内の人間には内緒で夜な夜な試作品を作っていた。周りの社員には気づかれないように「コーンポタージュ」とは別にプレゼン用のダミーアイスを作っていて、社内ではダミーの試作品をプレゼンする方向で周知していたが、プレゼン当日に「コーンポタージュ」の試作品も出したら意外と社内の評価は好評だったので商品化されたそうだ。
この勢いに身を預けるように、13年には「ガリガリ君リッチ クレアおばさんのクリームシチュー味」もヒットさせた。しかし、14年に発売した「ガリガリ君リッチ ナポリタン味」では雲行きが怪しくなり、あまりの個性的な味に「ふざけるな」「いい加減にしろ」という問い合わせが殺到した。青臭い香りからトマトゼリーまで甘いアイスを食べる頭で食べてしまうと、裏切られた感があったかもしれない。こちらも開発秘話を聞くと、13年には空前のナポリタンブームが発生しており、本物よりもリアルなアイスを目指してしまったとのこと。この作品で3億円の赤字を出してしまい、世間では赤城乳業ならぬ赤字乳業と冗談で呼ばれてしまうこととなった。