パパラッチ大国アメリカでも模索が続いている

ではアメリカではどうなのだろうか? 国際メディア論に詳しい在米ジャーナリストはこう解説する。

「アメリカでは『表現の自由』というのが憲法上強く保障されているので、ハリウッドスターのプライベートだけではなく、子どもの顔写真まで堂々と報道されていることが多くあります。今回の福山さんのケースでも、アメリカなら顔写真まで出るということがあり得たでしょう。一方でロサンゼルスのあるカリフォルニア州では通称・反パパラッチ法(606法)というものが制定されています。これはカメラマンなどが子どもを追い回すなどの迷惑行為を禁じた法律で、それらに違反した場合は軽犯罪として禁固一年などの処罰を受けることもあります」

常にパパラッチに囲まれる有名人
写真=iStock.com/Urilux
※写真はイメージです

アメリカではタレントの子どもについての顔写真まで掲載されるなど報道がよりオープンである一方で、つけ回し行為などを罰する州もある。つまり世界的にもタレントの子どもをどう守るかについては、グレーゾーンの中で模索が続いている状況だと言えそうだ。

SNS時代に子どもをどう守るかの議論が必要だ

決して週刊誌は“無軌道”に取材をしているわけではない。報道は一定の業界内ルールによって行われる。ただし、「政治スキャンダルから芸能人の下ネタまで」を扱う奔放なメディアであり、一定の「反権力性」を帯びている。故に「自主規制」や「忖度」を嫌う、というメディア的性格を持っている。だからといって決して「反社会的存在」ではない。

先に述べたようにプライバシーに関してはタレントが私生活公開をビジネスにしている以上は、週刊誌側もタレントを準公人としてその裏側も含めてプライバシー報道をするという状況を変えることはできないだろう。ただ、こうしたプライバシー議論とは別に、「子どもをどう守るのか」という議論があってしかるべきだと筆者は考える。

SNS時代となり、タレントは子どもを晒すことも含めプライベート公開により積極的となっている。今回の『FRIDAY』報道は、そうした“世相を反映”した形だったと思う。一方で、タレントのプライベートがより多くの人に簡単に拡散されるようになっており、それが子どもにどのような影響を与えるのかという点も考慮しなければならない。

私は『FRIDAY』記者時代、デスクから「週刊誌は社会の窓である」とよく言われた。世相に反した記事を作り続ければ、読者からそっぽを向かれてしまうだろう。週刊誌には常に世相が反映されるのだ。今回の記事についても社会的議論が高まれば、世相を反映する形で業界内ルールを見直そうという動きも出てくるはずだ。

親には子どもを守る義務がある。たとえ子ども本人の意思があったとしても、「メディアに出る」というリスクを十分に理解できているとは限らない。ましてやタレントである親が、子どもを頻繁にSNSやメディアに露出させることは慎重であるべきだ。同じように、週刊誌側の「子ども」写真のルールについても、「子どもを守る」という観点から考え直す必要があるだろう。

福山問題を一時の感情論だけで終わらせてはいけない。(敬称略)

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