4度目の緊急事態宣言が東京都に出された。みずほ銀行チーフマーケット・エコノミストの唐鎌大輔さんは「緊急事態宣言を乱発し、貯蓄に依存する日本経済の体質が常態化している。このままでは感染終息後も景気回復は見込めない」という――。
4度目の緊急事態宣言を決め、記者会見する菅義偉首相=2021年7月8日、首相官邸
写真=時事通信フォト
4度目の緊急事態宣言を決め、記者会見する菅義偉首相=2021年7月8日、首相官邸

悪化し続ける日本経済の「ワニの口」

政府は東京都に通算4度目となる緊急事態宣言を発令、12日より適用した。期間は8月22日までの42日間となる。4月25日から6月20日までの約2カ月間を経て、3週間ぶりの緊急事態宣言である。なお、1月8日から3月7日も緊急事態宣言期間だった。

そうではない期間もまん延防止等重点措置期間が敷かれていたので、要するに2021年の日本経済は常に足枷を付けた歩みを強いられている。片や、海外に目をやると英国ではサッカー欧州選手権(EURO2020)の決勝が7月11日に6万人以上を収容したスタジアムで開催され、ウィンブルドン選手権も多数の観客を入れて実施されている。

しかも映像を見る限りほとんどマスクはしていない。米国のメジャーリーグの試合でも似たような光景だ。ワクチン接種率に差があるとはいえ、感染者数やそれに伴う重症者・死者数が桁違いに多い欧米との格差に愕然とするばかりである。ここまでくると「格差が大きい」というよりも「住む世界が違う」という形容の方がしっくりくる。

年初の緊急事態宣言発令時、筆者は「『失われた40年になりかねない』2度目の緊急事態宣言が残す禍根 『貯蓄が正義』で日本経済が凍り付く」と題し、貯蓄・投資(IS)バランスを用いて今後の先行きを案じた。