勉強がいつ役に立つのかは、人それぞれです。もちろん、受験や就職だけに役立つものではありません。勉強で得た知識そのものが役立つこともあれば、考える力や課題解決力、分析力、計算力など、人生のあらゆる場面において勉強した経験は役に立ちます。

勉強をすれば、そのぶんだけ活躍できる場所が社会には用意されているのです。

ハーバードで見た“本物の秀才”たち

数年前、わたしが自身の勉強法(「7回読み」勉強法)を提唱したとき、こんな声をたくさんいただきました。

「7回も読めないよ」
「教科書を読むこと自体がつらいんだよ」

勉強して疲れを感じている女性
写真=iStock.com/Hiraman
※写真はイメージです

たしかに、勉強に慣れていなかったり、目的があいまいだったりすると、退屈な教科書を読む作業は苦痛かもしれません。わたしも、英語で「7回読み」に挑戦したとき、はじめてそのことを思い知りました。

「人によっては負荷の高い勉強法なのかも……」

そう思って、不安になりかけたこともあります。

でも、いまでははっきりお伝えできることがあります。それは、どんなアプローチだとしても、努力や勉強に「楽な近道」はないということ。

このことを証明する光景に、わたしはハーバード大学院で出くわしました。そこにいる学生たちは、世界中から集まった秀才ばかりです。しかし、そんな彼ら彼女らでさえ、少しでも暇があれば、教科書をぼろぼろになるまで繰り返し読んでいたのです。

芝生に寝転びながら、ジムで自転車をこぎながら、授業に備えて飽くことなく教科書を読みふける姿を目にして、わたしは「やっぱり勉強に近道なんてないんだ」と再認識できました。

大きな結果を出すのは、けっして要領良く点数を稼ぐような人ではありません。

時間をかけて、努力し続けた人が、最終的に伸びていくのです。

高校時代の教訓……勉強法は「命綱」だった

努力を続けていても、勉強の成果はスムーズに上がり続けることはありません。まるで上り階段のように、途中に必ず「踊り場(停滞期)」があります。

がんばっても、なかなか成果が現れない踊り場にいると焦ります。

そんなときに限ってまわりの人が気になるもので、「あの方法がいいのかも」とつい他人の勉強法に手を出しがちになります。

じつは、わたしにもそんなことがありました。高校生のときに成績が停滞し、自信を失って「7回読み」勉強法をやめたときがあるのです。「7回読み」勉強法は教科書などを丸ごと頭に入れていく方法ですが、それをやめて、応用問題を解いていく方法に切り替えました。