取材に対しては「連帯債務はない」と虚偽の回答

こんな連帯債務にゴーサインを出しておいて、近藤社長は株主にどう説明するのか。また、問題の調査に当たった社外取締役や監査役は行きがかり上、この合意書の存在を知らないはずはなく、その取り交わしに反対しなかったのか。

しかも取材に応じた浅井貴史管理統括部長は、私に対して「(質問状には)当社が連帯債務を負うと記載されていますが、当社は、被害者に対して金員を支払っておらず、今後も合意内容に従って支払う債務を負っているわけではありません」と虚偽の回答している。

しかし実際には連帯債務はもちろん、損害賠償の支払い期日や支払い方法まで合意書には記されているのだ。浅井氏の説明は真っ赤なウソを含んでおり、29日に開催される株主総会で取締役への昇格が議案に上っている浅井氏の適格性に疑問符を付けざるを得ない。

電気興業の悪質性が際立つのは、責任の所在をねじ曲げるために取締役会議事録の作成段階で出席者の発言を捏造しようとさえしたことだ。事実を取締役会の暗闇に沈めようとしたとしか思えない。

これでも東証一部上場企業なのだ。国内外の投資家は、こうした市場をどう見るか。ガバナンス不全は、一企業の問題にとどまらず、日本の株式市場全体の信頼性と沽券にかかわる。残念ながら「オリンパス事件」から10年を経ても東京市場は変わっちゃいなかった。

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