学力テストは常に上位の福井県出身、東大王はこうして育った

「宿題をさっさとやる子」を育てたご両親のいる福井県越前市を訪ねた。

「小さい頃から、好奇心旺盛な子ではありました。レスリング、逆上がり教室、スイミング、ピアノ、テニス、スキー、ソフトボール。関心のありそうなことは、なんでも体験させましたね」

(写真左)あいうえおカードで「チジョウのホし中島みゆき」と並べた。/(写真右)レスリング未経験にして第2位に。
写真=伊藤家提供
(写真左)あいうえおカードで「チジョウのホし中島みゆき」と並べた。/(写真右)レスリング未経験にして第2位に。

こう語るのは、母・美智子さん。高校の英語の先生をしている。

「でも、七海に英語を教えたことはありません。お腹にいるときに英語の歌を聞かせたくらいですね」

ほがらかに笑いながら思いだしてくれた。

「うちの七海が東大を受験する……。何だかピンとこなかったですね」

とは、父・裕貴さん。同じく高校の美術の先生で、画家でもある。

「油絵を描かせてみようと思ったんですが、下地の絵の具を塗ったところでストップしてしまいました」

(写真左)ソフトボールに夢中になった小学生時代。/(写真右)下地を塗ってストップしたままのキャンバス。
写真=伊藤家提供
(写真左)ソフトボールに夢中になった小学生時代。/(写真右)下地を塗ってストップしたままのキャンバス。

強制はしない。塾に通わせたことは一度もない

強制はしない。本人がそれ以上興味を持たないならそれでいい。描きかけの小ぶりのキャンバスは、今もそのまま部屋の壁に掛けてある。

「私、新体操をしていたので、側転だけは教えました。興味がないことをやらないのは構わないんですが、『苦手だからやりたくない』というのはもったいないので、体の柔らかいうちにね。『できるようにする』というより『苦手のタネを減らす』感じですね」(美智子さん)

塾に通わせたことは一度もない。

「知育玩具的なものもあんまり……。『あいうえおカード』くらいかな。3歳くらいの頃、ひらがなもカタカナもすぐに覚えて、カードを並べて言葉をつくっていました。『地上の星』の歌詞とか。私たちが好きで、よく聞いていたんです。それで七海もお気に入りに。『中島』という漢字も欲しそうだったので、それは私が手作りしました」