唯一の教育方針は、「先生の言うことは素直に聞きなさい」

肩に力が入っていない伊藤家の唯一の教育方針は、「先生の言うことは素直に聞きなさい」だ。

「自分たちもそうですが、先生というのは、勉強面も生活面も、子供一人一人を見てちゃんと指導しているものです。その先生の言葉を素直に聞いていれば、心配はないはずですから」(裕貴さん)

伊藤家
撮影=市来朋久

両親共働きの家庭だから、放課後は学童保育へ。そこでは、宿題を終わらせないと遊べないというルールがあった。

「早く遊びたくて仕方なかったから、学童に行く前、学校にいる間に宿題を終わらせていました」(七海さん)

学童の先生の教えを素直に守ったことで、「やるべきことを、できるだけ効率的に済ませる」という習慣が身についたという。

「大好きな家族のいる福井に帰って、父や母のような先生になりたい」

志望校に東大を選んだ、そもそものきっかけも高校の先生だった。

「高1の夏休み。日帰りできる名古屋や関西の大学のオープンキャンパスには行ったんですが、東京には行かなかったんです。部活を休みたくなかったから。そうしたら先生から、『君は東大も見ておくべきだ。来年は必ず行きなさい』と」(七海さん)

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それまで、本人にも両親にも東大に進むというイメージはまったくなかった。でも、先生が言うことだから……。

「東大に行きたいと自分でも考えるようになったのは、テレビで『東大王』を見てからです。東大生、かっこいい! って思って」(七海さん)

やりたい、行きたい、という目標が明確になれば、勉強に集中できるタイプ。

東京という大都会、テレビというキラキラした世界を知っても、七海さんの夢は「大好きな家族のいる福井に帰って、父や母のような先生になること」と揺るがない。

(文=金子聡一)
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