自粛警察は孤独を紛らわせる手段

孤独感の強い人にとって一番怖いのは無視されることです。無視されれば、より孤独感は強くなります。だから、いろいろなことに関わろうとします。ただ、誰しも負け戦はしたくないので、自分が正しい、反論をされないと思えるチャンスを探しています。

安藤 俊介『怒れる老人 あなたにもある老害因子』(産業編集センター)
安藤 俊介『怒れる老人 あなたにもある老害因子』(産業編集センター)

コロナ禍になり登場した「○○警察」と呼ばれるような人達は、正義というわかりやすい大義名分の下に自分の孤独を紛らわせる手段として、誰かを攻撃しているように見えてなりません。

例えば自粛警察であれば、本当に自粛していないことが許せないのではなく、都合よく攻撃できる対象であれば誰でもいいのです。なので、次から次へと違う○○警察が生まれ、常に怒りをぶつける誰かを探し続けていくのです。

孤独感に対する一番の特効薬は「自分で自分のことを認められるようになること」です。

今の自分はこのままでOKと自然と思えれば、特に誰かから認めてもらえなくても、承認をしてもらえなくても問題とは思いません。

自分の評価は自分でする

ところが私達は自分で自分のことを評価することに慣れていません。物心ついた頃から誰かに評価してもらうことに慣れています。親から、先生から褒めてもらうことで自分が正しいということを実感してきました。会社に入れば、上司からの評価で自分がやっていることが正しいのかどうかを確認しています。

世間にはいろいろな物差しがあり、いつもそれらの物差しと比べて今の自分がどうであるかと比較をしています。学歴、年収、会社、友達の数、家族、住んでいる場所、持っている物等々、今のあなたであれば、これくらいのものを持っているのが普通ですよという物差しが社会のどこかにあって、何となくそういうものだと思っているので、その物差しにあった行動をしようとします。ところがそうした物差しを全て満たすことなど到底できるはずもありません。けれど世の中の物差しを意識すればするほど、評価に満たないことがわかり、自分は認められていないと孤独感を強めてしまうのです。