本当に体にいい食品とは一体なんなのか。順天堂大学医学部の小林弘幸教授は「スプーン一杯でも上質な油をとったほうがいい。腸内環境を改善して、自律神経を整える働きがある」という――。
※本稿は、小林弘幸『自律神経にいいこと超大全』(宝島社)の一部を再編集したものです。
「体にいいもの」は大きく分けて2種類
最近は、「体にいいもの」という情報が氾濫していて、あまり気にし過ぎるとかえってストレスになってしまう。
「腸内環境を整える」「ストレスフリーの食事術」という観点から腸内環境を改善するには、「発酵食品」と「食物繊維」を積極的にとればいいということを、頭のどこかに置いておいてほしい。
私たちの腸内には、1.5キロもの腸内細菌がすんでいる。消化・吸収を助け、免疫機能を高めてくれるのが、いわゆる「善玉菌」である。一方、毒素を発生させたり、病原菌を増殖させたり、腸の炎症を引き起こしたりするのが「悪玉菌」だ。
腸内環境を改善するためには、いかに「善玉菌」を増やし、「悪玉菌」を減らすかにかかっている。とはいえ、「悪玉菌」をすべてなくすということはできない。どんなに腸内環境が整っている人でも、「善玉菌」が2割、「悪玉菌」が1割、腸の状態によって、善・悪、どちらにも転んでしまう「日和見菌」が7割といったバランスである。
不規則な食事、ストレスや睡眠不足、暴飲暴食、喫煙などで、「日和見菌」が「悪玉菌」に転じてしまうと、腸内環境が途端に悪い状態になり、便秘や下痢だけでなく、消化・吸収も悪くなる。
すると、体のなかでは、さまざまな不具合が起こってくる。まずは、血液の汚れだ。腸でうまく排出できなかった食べ物のカス=毒素が、「門脈」と呼ばれる血流に乗って肝臓に行き、そこから心臓に行き、さらには全身に回ってしまう。
質のよいきれいな血液ではなく、毒素で汚れた血液が回るので、太りやすくなるだけでなく、肌荒れ、髪のパサつき、老化、さらには全身がだるくなって疲れやすくなってしまう。腸内環境が悪くなると、途端に自律神経も乱れてしまう。