素人が手を出すには危なすぎる仮想通貨

仮想通貨(暗号資産)の代表格といえばビットコインですが、その市場は非常に不安定で、上げ幅・下げ幅ともに常軌を逸しています。

ビットコインは、まず2009年に「1BTC=0.07円」で始まりますが、2017年にはなんと200万円を突破します。しかしその後、瞬く間に30万円台にまで急落し、以後数年間は数十万円~100万円前後で推移します。それがコロナ緩和マネーで2020年後半から上がり始め、ついに2021年4月にはなんと「1BTC=700万円」、当初価格の1億倍にまで達します。ところが、そこからどんどん値を下げ(ひどい日は1日100万円以上ダウン)、わずか1カ月後の5月には300万円台まで暴落しています。ここまで乱高下するビットコインは、まさに投機商品。現状では素人が気軽に手を出せる商品とは言えないでしょう。

ビットコイン
写真=iStock.com/Olemedia
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仮想通貨は、国家が信用保証してくれる従来の法定通貨とは異なり、「利用者同士がオンライン上の信用保証システムを共有することで構築する、国家の裏付けを必要としない財産的価値」で、正しくは「暗号資産」と呼ばれます。コストがほとんどかからないうえ、24時間取引ができるなど利点も多く、今日世界に急速に拡大しています。

そして、その価値の構築で使われる技術が「ブロックチェーン技術」です。これは、世界の全取引を記録し続けているオンライン上の取引台帳を全利用者で共有するもので、ハッキングによるデータの改ざんをきわめて困難にする技術ですが、実際には不正アクセスによる流出(つまりビットコインの盗難)が起こっています。

日本でも2018年、東京と大阪の仮想通貨取引所で、それぞれ580億円、67億円相当ものビットコインが流出し、多くの日本人が立件されています。そして仮想通貨は、ハッキングやシステム障害などでセキュリティ面に不安が生じると、投資家がすぐに売りに出すことから、その価値がいったん下がり始めると、暴落を止められなくなります。なぜなら仮想通貨は、国家が保証する法定通貨ではないため、価値をコントロールしてくれる中央銀行が存在しないからです。

ビットコインは、発行額の上限が「2100万BTC」と決められているため、その意味では通貨というよりも、同じく希少性を価値とする「金(GOLD)」に近い資産です。しかし金ほど「危機時の安全資産」として機能していません。そういう意味では、現状のビットコインは、ビジネスの片手間に投資するのに向いた商品とは言い難いと思われます。

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