自分で課題を掲げて練習方法を組み立てる

長野冬季オリンピックで金メダルを獲得した元スピードスケート選手・清水宏保さんとお会いしたことがあるのですが、清水さんは小学生の頃から、腸腰筋という、お腹のインナーマッスルを強化する練習を徹底して行ったのだそうです。今ではスポーツ科学で大変に注目されている腸腰筋ですが、当時小学生だった少年がそこに焦点を当ててトレーニングをすることが、どれほどすごいか。課題を掲げて練習方法を組み立て、それを実践できる人こそが、頭がいいアスリートだといえるでしょう。

自分で組み立てることが難しければ、組み立てられるコーチを雇うという方法もあります。自分1人ではできないけれど、できない現実を受け入れて、他者から助けてもらう。コーチを雇う経済的余裕がないのであれば、チームメートや先輩のアドバイスでもいいでしょう。要は誰とバディ(相棒)を組むのかです。

ビジネスパーソン同士の握手
写真=iStock.com/Delmaine Donson
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情報に優先順位をつける力

価値観が多様化する時代に生きる私たちは、目の前に並ぶたくさんの事項に対して、優先順位をつける力を求められています。これができるのは、頭がいい人の特徴です。世の中はうまくいくことばかりではありません。仕事に就いて何か大きなミスをしたり、トラブルに巻き込まれたりしたときは、それを隠したり、そこから逃げたりせず、まずは早めに誰かに相談をするということ。それがその場面での優先順位一位です。

自分より経験値の高い人からの知見を得ることで、危機から回避できる、あるいは損害を最小限で抑え込むことができる可能性が高まります。

厳密な意味において、社会を1人で生きている人はいません。「チーム」という概念で選択肢に優先順位をつける力は、今の時代にとても必要とされていることだといえます。