「小室騒動」が投げかける令和皇室の深刻さ

そのような矢先に皇室に一石を投じたのが「小室圭さん問題」ではないだろうか。これまで報じられてきた、ご家族での負債の問題などについてはここでは触れるつもりはない。ただしこの一連の報道を通じて生じた現実問題についてだけは触れておきたい。

2017年5月に眞子内親王との婚約が内定して以来、これまでの「騒動」により内親王ご自身についてはもとより、秋篠宮家、ひいては皇室全体に及ぼした影響は計り知れないのではないか。報道内容の真実はどうであれ、このままお二人が結婚されてもそれは国民全体から真に祝福されるご成婚にはならないのではないか。さらに仮に女性皇族も宮家を創設できることになったとしたら、小室氏も「皇族」となるわけであり、これに反対する国民も多数出てくる可能性は高い。

そして宮家の創設だけではなく、この21世紀の現在にあっては「女性・女系天皇」の道を切り開くことも必定となってくるのであり、それが実現すれば将来的に眞子内親王が天皇になられる可能性もありうるわけで、国民からのさらなる反発も予想されよう。

こうした事態を避けるために、「男系男子」の皇位継承にこだわる人々は、終戦直後に皇籍を離脱した旧宮家の男系男子を養子などのかたちで皇室に戻せばよいのではないかと主張している。

しかし、本稿の最初で筆者がみなさんに質問したことについて立ち戻っていただきたい。報道等でもお顔などが出る可能性の高い、現在の皇族についてもなじみの少ない国民が、70年以上も前に皇室を離れ、顔も名前もほとんどわからない方々にどれだけの信頼を寄せられるだろうか。

皇室はもっと国民に近づいてほしい

以上の議論を踏まえて、今後の皇室の進むべき道について私見を整理しておきたい。

現在の皇室を支えておられる女性皇族方を中心に、ご自身が特に関心を持たれている分野に関わる各種団体に総裁等の役職で(パロトンとして)さらに多数コミットしていただき、そうした活動は毎日更新するSNSによって国民にも活発に広報していただきたい。

また、皇室典範第12条も改定し、女性皇族方はご結婚後も皇族として留まり、配偶者やお子様も皇族とし、今後も天皇皇后両陛下を中心とする皇室の活動を支え続けていただきたい。

君塚直隆『立憲君主制の現在:日本人は「象徴天皇」を維持できるか』(新潮選書)
君塚直隆『立憲君主制の現在:日本人は「象徴天皇」を維持できるか』(新潮選書)

以上のことは、21世紀どころか、明治以降の150年以上に及ぶ日本の皇室史上で初めての試みとなることは百も承知である。しかし幸いなことに、イギリスをはじめヨーロッパにはこうした王室や王族の活動の活性化、SNSの活用について「先達」ともいうべき存在があまたあり、日本の皇室はこれらの王室ともやはり150年にもわたる長いお付き合いで結ばれているのだ。そのノウハウを伝授していただけるはずである。

2018年に上梓した『立憲君主制の現在:日本人は「象徴天皇」を維持できるか』(新潮選書)でも書いたように、21世紀の今日においては「国民の支持があってこそ」皇室は成り立つのである。

「小室圭さん問題」が投げかけた波紋は、一部の週刊誌が報じていること以上に、より深刻な問題をはらんでいることを忘れてはいけない。

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