「いまだ雲上人」皇室の広報は不十分だ
いずれにせよ、英国に限らず、ヨーロッパで君主制をいただく国民の多くは、王族たちが自分たちや世界全体のために日夜努力している姿を見て、王室に信頼を抱いているのが現状なのである。そのいずれにおいても英国が「嚆矢」となっており、各国の王室はいまやSNSを活用して、自分たちの喧伝にも努めているのである。
Next year’s #PlatinumJubilee celebrations will include:
— The Royal Family (@RoyalFamily) June 2, 2021
Trooping the Colour.
Lighting of Platinum Jubilee Beacons.
Service of Thanksgiving @StPaulsLondon.
A live concert ‘Platinum Party at the Palace’.
The Big Jubilee Lunch.
The Platinum Jubilee Pageant. pic.twitter.com/jUcVON0uOf
こうしたヨーロッパの王室に比べると、日本の皇室は公務の数もさることながら、国民の前に姿を現す頻度も、さらに広報にしても圧倒的に足りていないというのが現実である。
日本には「宮内庁」のホームページはあっても「皇室」のそれはない。ましてやツイッターもインスタグラムも開設していない。しかも深く関わっている団体が少ないなかでは、皇族の方々の活動も国民にはわかりづらい。いまだに「雲上人」というのが真実なのか。
21世紀のこんにちでは、高齢者や子ども、障がい者、さらにはLGBTの人々、他国籍の国民(多文化共生問題)など、いわゆる社会のなかの弱者といわれる人々に寄り添っていくことが大切である。こうしたときに、日々の政治や外交、軍事や通商(さらには昨今のコロナ対策など)で忙しい政府では手の回らない、これらの問題に積極的に関わることができるのが王族であり、皇族なのではないか。
こうした側面からも、日本でも皇族の方々にさらに多くの各種団体に直接的に関わっていただき、国民により近づいてもらいたい。
「公務の担い手」が減っては国民との距離は埋まらない
ところが、政府から国民に至るまで日本全体が戦後70年以上にわたって「置き去り」にしてきた問題のツケが回ってきている。いわゆる皇族数の減少である。「皇室典範」第12条にあるとおり、女性皇族が皇族以外の男性と結婚される場合には、皇室から離れなければならない。俗にいう「臣籍降下」である。
公務を担える皇族が他にも多数存在する状態であればいざしらず、いまや上記の各種団体に関わる皇族12名のうち実に10名が女性であり、そのうち4名が未婚の皇族である。さらに既婚の女性皇族にしても、三笠宮百合子妃(98歳)を筆頭に常陸宮華子妃(80歳)、そして高円宮久子妃(67歳)と、みなさまいつまでも公務を担えるわけではない。
これからさらに公務を担っていただきたいときに、それを支えられる皇族数が減少していては、皇室の国民からの支持はさらに減退してしまうのではないか。やはり女性の皇族にも男性と同様に「宮家」を創設していただき、その配偶者もお子様たちにも「皇族」となっていただき、天皇皇后両陛下を支えていただかなければ成り立たないのである。特に、高円宮家の三女絢子様が嫁がれた守谷慧氏は、青年時代からボランティアに積極的に関わっておられ、理想的な「皇族」になってくださるのではないか。