コレ! と決めてしつこく突きつめた結果、彼らは成功を手にしました。

この他にも、ビル・ゲイツ氏は「私は物事をとことん突き詰めるのが好きなんだ。そうすれば、たいてい良い結果が出るから」、また孫正義氏は「しつこくしつこく考えて完成度を上げる」など、しつこさ、根気強さの重要性を語っています。

特別な才能や環境ではなく、「しつこさ」こそ、最強の成功哲学だったのです。

2008年1月15日、基調講演を行った米Appleのスティーブ・ジョブズCEO。手にはMacBook Air。
写真=Matthew Yohe/MacRumors at MWSF, From Wikimedia Commons
2008年1月15日、基調講演を行った米Appleのスティーブ・ジョブズCEO。手にはMacBook Air。

「いいしつこさ」と「悪いしつこさ」

とはいえ、「しつこい人」というと世間一般には、ものわかりが悪いとか、察しが悪いとか、相手を嫌な気持ちにさせるとか、ネガティブな印象が浮かぶかと思います。

しつこさには、「いいしつこさ」と「悪いしつこさ」があり、大事なのは前者です。

「失敗したところでやめてしまうから失敗になる。成功するところまで続ければそれは成功になる」と、パナソニックを一代で立ち上げた松下幸之助氏は言いました。

あきらめずにコツコツと続けること、しつこくやり続けること。大事だけれどなかなかできないことではないでしょうか? 「いいしつこさ」が幸せな人生をつくる。

まず、幸せに生きる大前提となるこのコツをしっかり意識しておきましょう。

しつこさでほぼ0%の確率をひっくり返した話

「いいしつこさ」って、具体的には何でしょう?

それを考えるために、一つのエピソードをご紹介します。私がリクルートの求人広告の営業職をしていたときの先輩の話です。

A先輩は、難攻不落と噂される大手企業Bの社長に営業することになりました。

「毎日会社を訪問する」という作戦を立てたA先輩は、名刺にひと言書き、会ってもらえない相手に届け続けました。

「ひと言書く」のも実は大事なので、ちょっと解説しておきますね。A先輩は手書きで、「いつもありがとうございます」「いつもご不在のときにすみません」などなど、短い言葉を添えたそうです。たとえ相手と会えなくても、ひと言名刺が思いを伝えてくれたり、A先輩をジワジワ売り込んだりしてくれていた感じですね。

名刺はさておき営業の成果は? というと、名刺を届け始めて2年経過した頃、B社から「会いたい!」と電話が入り、営業活動に無事に結びつきました。

みなさんは、A先輩の行動を、どんなふうに感じましたか?

無理に頑張らなくてもいい

2年間名刺を届け続けたと聞くと、「がむしゃらにがんばるのがよいのだ」と感じたかもしれません。しかし、ここで種明かしをすると、A先輩は、B社にすごく強い思い入れがあって毎日通ったわけではありませんでした。

もちろん「営業がうまくいくといい」と、心底願っていました。

でも、毎日通い続けられたのは、A先輩の通勤ルートにB社があったから。

つまり、「ひと言書いた名刺を毎日届ける」という仕組み化・習慣化を行っただけ、いつか連絡が来るかなと思いながら継続しただけだったのです。