「セミナー講師の言いなり」自己啓発沼にハマって大出費

真田さんにはどのような支出の癖があり、何を改善すると無理がなく貯金ができる家計になるのか。次にそれを共に考えていきました。

どうやら真田さんは自己投資が好きなようです。食費や日用品代などにはあまりお金をかけていません。その代わり、英会話スクールやマネーセミナーなど複数の「学びの場」にお金をかけています(「教育費」月3万6000円)。英語教育をネット上でやっている関係か、通信費もやや高く(月1万8000円)、仕事柄なのかサプリメントにもお金をかけています(月2万1000円)。以上、自己投資関連の費用が計7万5000円にもなります。

女性が壇上に立つビジネスセミナー
写真=iStock.com/Yue_
※写真はイメージです

では、どの支出を無理なく下げられるでしょうか。

客観的に見ると、スマートフォンの契約内容の見直し、飲んでいないサプリがあれば、その見直しは取り組みやすいでしょう。セミナーも月に参加する数を絞れば、減らせるかもしれません。また生命保険料(月3万7000円)も見直すことで減らせる可能性があります。これらを提案しましたが、真田さんはこれらに取り組むことになかなか良い顔をしません。

特に、マネーセミナーに関してはかたくなな態度を見せます。セミナー参加が少なくなれば、将来を歩む道しるべがなくなってしまうのではないかという不安があるようです。加えて、以前FPのセミナーの後に開催される個別相談で、「貯金は収入の2割はしなさい」といわれ、かつ「投資でリスクを負うくらいなら、保険のほうがよい」とも言われたそう。そのため、月の保険料の中には今回満期を迎えるものとは別の貯蓄目的の保険料があり、減らすと貯金の目標が達成できなくなることが気になるとのこと。

通信プランの見直しは「速度が遅くなる」、サプリは「健康維持のために必要」などとそれぞれ本人には見直し拒否の理由がありましたが、どこか言い訳のような、自分に言い聞かせているような感も否めません。そもそもの考え方を変えていかないと、真田さんのお金の流れは変えられないことがわかりました。

FPの提案に耳を貸さなかったが、次第に…

支出の削減につなげるために、1つずつ説明し、アドバイスしたのは次のポイントでした。

・保険で貯めるということも悪くはないけれど、お金を貯めるということと、保障を得るということは切り離したほうがよいということ。

・サプリメントを飲むことは悪くはないけれど、高額を継続的に支払うほどの効果があるのかを振り返り、利用するものを絞るほうがお金を貯めやすいこと。

・通信費は契約内容や契約会社を見直すことで利用料を安くでき、最近は通信速度も気になるほど遅くならないケースが多いこと。

・自己投資となっているセミナー類は、今の生活にどれほど役に立っているかを振り返り、良いもの、そうではないものを見分ける目を養いつつ、参加するものを絞る。

今まで自分が良いと信じてきた部分の改善の提案なので、簡単には受け入れられないかと思えましたが、「なぜ、自分は良いと考えるのか」を本人に改めてよく考えてもらいました。その結果、納得できたのか、少しずつコスト削減に前向きな行動をとるようになりました。