「発射時の対策や落下の分析などの詳細な説明を避ける姿勢」

「中国と宇宙 国際協調に責務果たせ」との見出しの朝日新聞の社説(5月11日付)は、冒頭部分からこう指摘する。

「被害は未確認だが、安全対策と説明責任が不十分だと、米国などが批判している」
「中国当局は『ほとんど大気圏で燃え尽きた』としたが、実際は危うい落下だったようだ。発射時の対策や落下の分析などの詳細な説明を避ける姿勢は、無責任のそしりを免れまい」

「不十分な安全対策と説明責任」「説明を避ける姿勢」「無責任」。いずれも中国の習近平政権にぴったりの言葉である。世界から非難されてもなおかつ自らの非を認めようとはしない習近平・国家主席の面の皮の厚さには、唖然とさせられる。

朝日社説は主張する。

「中国は『宇宙強国』を掲げ、急速に開発を進めている。野心的な試みや高い技術を誇示するだけでなく、国際協調でも積極的な取り組みをするべきだ」
「1967年の国連宇宙条約の定めを再確認する時だ。宇宙は、人類の共益に資する開発が原則である。中国、米国、ロシアなど大国を筆頭に、改めて思い起こしておきたい」

習近平政権は国際協調を無駄な産物だとしか考えていない。朝日社説もそこは理解していると思うが、新聞の社説である以上、どう国際協調すべきかをもっと具体的に示してほしかった。残念である。

中国の覇権主義が宇宙にまで及んでいる

朝日社説は指摘する。

「近年、人工物の残骸である宇宙ゴミの問題が深刻になっている。各国の人工衛星や、宇宙ステーションなどの有人施設への被害が懸念されるからだ」
「国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)は07年、ゴミを減らすためのガイドラインを作った。こうしたルールに沿って、残骸の制御措置が十全にとられねばならない」

宇宙ゴミの問題は、私たちの地球にとって避けては通れない重要課題である。中国は14年前に人工衛星をミサイルで破壊し、「宇宙空間に大量のゴミをばらまいた」と国際社会から厳しく批判された。