今後は残業を減らせないと評価が下がる恐れも

永守氏自身が会社にいるとみんな帰らないので、早く帰るようになったといいます。最初は奥様に「早く帰ってこられたら困る」と迷惑がられていたそうですが、今は理解してもらえたとインタビューで語っていました。

結局長い目で見ると、労働時間が長くて労働条件が悪いと社員の士気は落ち、評判も悪くなって企業は衰退していきます。

既に大企業は海外でも事業を展開している関係で、残業ゼロにするよう積極的に取り組んでいます。その波は、中小企業にも必ず来るでしょう。

その時になってから残業を減らせないとなると、評価が下がる恐れもあります。今から「残業をしない習慣」を身につけておいたほうが、ゆくゆくは自分を助けることになるのではないでしょうか。

時間に「流される」ことがないように

“時間に厳しい”ドイツでは、時間管理が国の政策にも関係しています。

育児休暇を定めた「親時間法」、介護のために労働時間を減らすことを定めた「家族介護時間法」など、法律の名前に“時間”がついているのです。これは国民には個人の時間を確保する権利があるという表れかもしれません。

ドイツでは、会社でも店でも公共施設でも、始業時間も終業時間もきっちり守ります。

閉店間際の店に入ると、露骨に嫌な顔をされることもあります。日本なら、そこで「このお客様に買ってもらったらさらに利益が出る」と考えるところですが、ドイツ人は利益よりも自分の時間のほうが大事なのかと感じる場面が多々ありました。

1994年に施行された「労働時間法」によると、1日の労働時間は8時間を超えてはならないと定められています。企業の状況によっては、1日に最大10時間まで、週に60時間まで働いてもいいということになっています。