「同調」が不正やチャレンジしない姿勢を生む
協調は大事ですが、同調はデメリットが大きくなります。
若い社員が企画を提案しても、「うちの会社には向いてないから」といった理由で拒んでばかりいたら、結局新しいチャレンジなどできません。みんなが無難で似通ったアイデアばかりを出すようになるでしょう。
さらに同調が強まれば、不正があっても見て見ぬふりをするリスクも出てきます。内部告発で不祥事が発覚する企業がありますが、同調圧力が強いために、不正会計や偽装を行っていても社内では誰も何も言えなくなっていたのかもしれません。
「自分は自分、人は人」というスタンス
確かに昔に比べて日本の労働市場はかなり流動化しています。転職は日常茶飯事。中途採用から役員まで上りつめる方も出ています。とはいっても、一斉採用、入社年次の重みは容易に変わりようがありません。
内部昇格が大半を占める中では、どうしても同調圧力に染まりやすいのではないでしょうか。
別の企業で実績を上げてから会社のトップに起用され、会社を立て直すようなケースは日本ではまだまだ少数派です。外部から来た人が管理職になると長年勤めてきた人たちは反感を抱き、社内の雰囲気が最悪になるという話は珍しくありません。
ドイツに限らず、多くの国では最初に入った会社でキャリアを積んでいくというより、転職を重ねながらステップアップしていくのが普通です。出世欲は当然ありますが、今いる会社での内部昇格を目指すのではなく、自分をいち早く好条件で迎え入れてくれる会社を探す中で、昇格のステップを踏みたいと考えています。
だから同調せずに「自分は自分、人は人」というスタンスでいられるのです。
日本では出る杭は打たれますが、ドイツでは出ない杭は評価されません。日本以外の国では後者が普通でしょう。
みんなが出る杭になる必要はないので、出ない杭でいる生き方を選ぶのもありだと思います。ただ、自分を抑えて一生出ない杭でいて、本当に幸せになれるのでしょうか?
孔子は論語で「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」という言葉を残しています。この言葉は、「すぐれた人は協調はするが、むやみに同調したりしない。つまらない人物はやたらと同調するが協調はしない」という意味です。つまり、すぐれた人は他人の意見に耳を傾けても簡単には流されない、ということです。
皆さんは、君子と小人のどちらを目指しますか?