集団授業の学校や塾では、その子に合わせた指導をしてくれない
通常、「9歳の壁」を超えるまでは記憶力がとてもいいことが知られている。それを用いて漢字や英単語を覚えさせることは可能だ。
あるいは、中学受験の問題集と比べて、中学範囲の英語や数学は抽象思考の必要性が比較的低い。ならば中学受験より大学受験を見据えて、小学校の4年生くらいから中学英語や中学数学をスタートするという手もある。
私の見るところ、できない子供の大多数は発達段階と学校や塾のカリキュラムとのミスマッチからきている。あるいは、勉強のやり方がその子にあっていないということだ。
ところが集団授業の学校や塾では、その子に合わせた指導をしてくれない。だから、親が子供にあった勉強法を探す必要がある。
勉強のやり方が今ひとつでも成績がまあまあなら特に問題ないのではないか。という向きもいるだろう。だが、それだと、損をしてしまうことがある。
大学入学共通テストでそれなりの高得点を取り、地方の国公立大学に合格するレベルの生徒の場合、その生徒に最適の勉強法にすることでもっと上の大学に合格できる可能性がある。例えば、東大の2次入試問題で合格者の最低点を目標とするような、東大に特化した対策をすれば東大合格も夢ではない。
要するに、現状に満足せず、勉強法を試せばさらなるチャンスが広がる可能性があるのだ。
私が3つの地方紙に新規教育事業の全面広告を掲載したワケ
そのためにも、まず親への教育の大切さを痛感し、私は新規でオンラインの教育事業を立ち上げた。40年にわたる受験指導経験と、35年以上となった精神科医としての経験から、親を教育することで子供の自尊心やメンタルヘルスを守り、わが子がより高いレベルの最終学歴が得られるようにすることを目標にしている。
「和田秀樹の『親塾』」がそれだが、私の残りの人生をかけて臨んでいる。とくに地方の親御さんにニーズがあるはずと信じて、今春、私が教育コラムを連載している中日新聞と四国新聞、そして私の主宰する通信教育「緑鐵受験指導ゼミナール」からかつて東大理Ⅲトップ合格者を出した富山県の北日本新聞に全面広告を出した。
しかし、結果は悲惨なものだった。全面広告に対する問い合わせ(お試し受講希望者)数は、中日新聞のエリアで30件強、香川県で3件、富山県では0件だった。
親教育を始めるにあたり、2回の無料講義を聞いて、それで賛同できるなら入会というハードルの低いシステムにしたのだが、入会どころか、タダで講義を聞いてみようという親の数が想定を大きく下回ったことに愕然とした。
子育てというものは、予想通りにいかないものだ。発達段階もまちまちなので、少なくとも子供の成績が思わしくないとか、発達障害が疑われるようなときには、あれこれと子供時代に試してあげないと、大人になってから苦しむことが多い。
ミスマッチな勉強法しか知らないまま育った子供は自分に自信をもつことができず、ひどい場合は自分で自分にバカのレッテルを張ることになってしまう。それによりメンタルヘルスを悪化させ、引きこもりの一因にもなることがある。