4月25日から東京、大阪、兵庫、京都の4都府県に、3回目となる「緊急事態宣言」が出された。日本のコロナ対策はこれでいいのか。精神科医の和田秀樹氏は「日本のコロナ対策には、日本の医学界の抱える4つの問題点が現れている」という――。
渋谷マルイに掲げられた臨時休業のお知らせ
撮影=プレジデントオンライン編集部

臓器ごとの専門家ばかり養成している

今回、3度目の緊急事態宣言を受けて私は、日本のコロナ対策は、医学界のダメな点がすべて露呈してしまったと痛感している。

日本の医学界のダメなところは大きくわけて4点ある。

その第1は、医学部や大学病院には「内科がない」こと。医師は呼吸器内科とか消化器内科、循環器内科というように、臓器ごとに専門分化されている。総合内科という内科があるところでもそれは、専門内科で教授になれなかった人のためにつくった診療科という側面があり、スタッフの数は少なく、あまり重要視されていない。

人は年を取れば取るほど、三つや四つの病気を抱えていたとしても不思議はないのに、臓器ごとの専門家ばかり養成しているから、一人の患者を総合的に診断する医師がいないのが実情だ。

感染症専門医の「暴走」ともいえる状況に

たとえば循環器内科では、LDL(低比重リポタンパク)は“悪玉コレステロール”と言われ、数値が上がると動脈硬化を進め、心筋梗塞のリスクが高くなるから患者に下げるように指導する。ところがLDLは動脈硬化に対して悪玉なだけであって、免疫細胞を活性化するし、鬱になりにくくするなど良いところもたくさんある。また男性ホルモンの材料でもある。むしろLDLの値の高い人の方が長生きするというデータもあるほどだ。

しかし日本の大学の医学部には、専門が異なる分野の先生の意見に対して口をはさむことをよしとしない土壌がある。そのためこうしたことはあまり知られていない。

コロナ対策も感染症専門の学者しか意見できず、それに対してあまり反論できていない。私から見れば、感染症専門医の暴走といえる状況だ。