「割引コスト」は文科省が負担せよ
住んでいる場所によって交通費が異なるのは仕方がないとはいえ、交通手段の違いで負担額に大きな差が出るようでは、教育の機会均等の問題にもなりかねません。
実際、交通費の多寡は学校の選択にも影響を与えています。そもそも通学定期の割引販売が教育政策の一環として始まったことを考えれば、その割引コストは交通事業者が負担すべきものではなく、文部科学省の教育予算でカバーすべきものではないでしょうか。
コロナ禍が公共交通の経営を直撃し、利用者減による減収を補うため、すでに値上げに踏み切った事業者もあります。このままでは、エッセンシャルサービスであるはずの公共交通がますます利用しにくいものとなり、車を運転できない学生や高齢者にしわ寄せがいってしまいます。
この機会に、全ての公共交通の通学定期割引をJR並みとし、その負担は、教育予算として公費で負担することを提言したいと思います。筆者の知る限り、通学定期の割引コストを民間の事業者に押し付けている国はありません。
欧州にも手厚い学生割引がありますが、すべて教育のための公費で支えられています。これは、かねてより交通経済学の教科書レベルでも指摘されている問題ですし、大きな法改正なども必要ないはずです。今すぐにでも政府に動いてほしいと思います。