コスパ最強の方法は「働き方の柔軟性」を与えること

では、どうやってそれを知るのか?

個々の社員に聞くしかありません。しかし、その質問にしっかりと答えられる人ばかりではありません。在宅勤務に「上手に適応してしまった」社員たちはそのようなことを考えたこともないからです。

そこでお勧めなのは、必要以上に干渉を受けずに出社勤務やリモートワークを選べる働き方の柔軟性を社員たちに与えることです。1日の中で出社や退社時間に柔軟性を与える働き方をフレックスタイム制と言いますが、これを1週間、1カ月間などの長めの時間軸で考えてみるイメージになります。

独立した個人として働く時間と場所を尊重された社員は、きっと、働き方が変わり、生活が変わります。その結果、それぞれがもつ価値観にしっかり向き合うことになるでしょう。その価値観がかなう働き方のできる会社こそが、その社員がもっともエンゲージメントを感じるのだと思います。福利厚生を充実させたり、給与水準を上げるよりも、コストはかからず、コスパのいい方法です。

リモートワークで働く若い女性
写真=iStock.com/west
※写真はイメージです

今こそ会社のポリシーを表明しよう

そのためには、会社がコロナ禍、コロナ後の働き方のポリシーを決める必要があります。社員たちにこびる必要はありません。会社としてのポリシーを表明し、それに納得のいく人たちと歩んでいくことが大切です。

コロナ禍、AIの発展、デジタルトランスフォーメーション等々、いろいろな意味で今は大変革期です。多くの人事から受けた相談内容は、まさに会社のこれからの課題でもあります。考えてもすぐに答えは出ないかもしれません。しかし、考えなければ、答えに近づけないことも事実です。

考える会社には、大変革の時を組織として上手にしなやかに、生き残ってほしいと思います。私も産業医として企業とともに、その答えを一緒に見つけていきたいと思うのです。

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