「出社しなくても仕事はできる」と気づいてしまった

エンゲージメントに変化が見られるようになった理由は、新型コロナ感染症、緊急事態宣言等々の非日常の中で、改めて自分の働く意味・意義を考える機会があったことや、リモートワークで同僚たちとの関わり合い方が従来と変わってきたことがあげられます。新常態への変化が、多くの人に少なくない影響をもたらした結果と言えるでしょう。

当初は不便や不満もあったリモートワークにも慣れて、むしろ、出社しなくても仕事は十分できることや、同僚たちとも毎日顔を合わせる必要がないことに気づいた社員たちの中に、コロナ後も「どうして出社する必要があるのか?」「上司や同僚たちと同じ場所で顔を合わせて働かねばならないのか?」「成果が出ているのだから……」という素朴な疑問が生じているという声が多かったのです。

自分の意に沿わない出社(または在宅業務)命令が続くようであれば、この人たちは転職を考えます。会社にとっては人財(人材)の損失となりかねません。

パソコンで求人サイトの検索をする人
写真=iStock.com/Sinenkiy
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給与や福利厚生でエンゲージメントが高まるわけではない

このようなことに悩む会社は、元々、社員のエンゲージメントを高める施策に熱心です。ストレスチェックテストと同時にエンゲージメント調査をしたり、賞与や給与、有給休暇日数を増やす、福利厚生を充実させる等々で、従業員満足度をアップしようと頑張ります。

しかし、それが社員のエンゲージメントを高めることには必ずしもつながりません。その理由は、各社員の感じている素朴な疑問への答えは1つではないからです。

大切なのは、おのおのの社員が何に対する満足を期待して会社に所属しているかなのです。