明るくハッピーな友人がいると幸福度が上がる

これに関連して、愛知医科大学のマツナガらの実験を紹介しましょう。

18〜25歳を対象にあるストーリーを読んでもらい、その反応(唾液に含まれるセロトニンというホルモンの量)を調べるというものです。

このストーリーは架空のライフイベント、人間関係などが書かれたもので、主人公になりきって追体験できるようになっています。

ライフイベントの内容は「ポジティブ」「ニュートラル」「ネガティブ」の3つ。

人間関係も同じく「ポジティブな友人」「ネガティブな友人」「友人がいない」という3パターンで、その組み合わせが参加者によって異なります。

この結果、参加者の幸福度をもっとも高めたのは、「ポジティブな友人」の存在だったことがわかりました。ライフイベントがネガティブなものであっても、明るくハッピーな友人がいる人は幸福を感じる傾向にある、という結果になったのです。

一方で、ネガティブな友人がいた場合、友人がいない場合よりも幸福度が下がる傾向も見られました。

見栄や世間体を重視した付き合いはムダでしかない

人間は、とても共感能力が高いのです。それが幸福な気持ちであっても、不安や怒りなどのネガティブな感情であっても、相手が発しているものをそのまま受け取ってしまい、同じような感情を抱いてしまうことがわかっています。

つまり、ネガティブな人ではなく、ポジティブな人と接していったほうが人生はポジティブな方向に向かいやすいということです。

現代社会では、人間関係でもメリット・デメリットが重視されがちで、「つながっておくといいことがありそう」だから付き合う、なんていうこともあるかもしれません。また、見栄や世間体を重視した付き合いなどもあるかもしれません。

ですが、ムリした付き合いには意味がないどころか、幸福度を下げてしまうこともあるのです。

ですから、よけいなことを考えずにポジティブな友人と一緒にいる。そして、自分自身もポジティブでいることに努める。そうして、幸福度の高い人間関係をつくってみてください。

冒頭の研究の結果を考えれば、人生の最終的な勝ち負けなんていうのはないも同然です。財産も、恋愛も、肩書も、ステータスというのは一瞬の間不安を遠ざけるものに過ぎず、本質的には問題を解決してくれないのです。

ここでは、「ポジティブな態度」とその効用について見ていきます。