残念な部下から最高の部下になるには

提言力を高めるための方法をお伝えする前に、まずは具体的なシチュエーションにおける、提言力のレベルによる言動のちがいを見てみましょう。いわゆる「あるある」ではないですが、そのほうがみなさん自身の提言力のレベルを自覚してもらいやすいはずです。

わたしは、提言力のレベルを4つに分けて考えています。コロナ禍のなかリモートワーク導入にあたってなんらかの問題が生じている会社において、それぞれのレベルの部下が上司に対してどのような言動をするのか、その例を示しましょう。

レベル1は「積極的な人」。決して提言力がないわけではありません。でも、レベル1の人は、「やっぱりリモートワークを導入すべきだと思いますよ」というふうに、ただ上司に意見をいうだけ。これでは問題の解決にはつながりません。

それが、レベル2の「主体的な人」になると、「わたしなりにリモートワークを導入するための方法を考えてきました」と、自分なりの解決策を提示するようになる。もちろん、上司から「デキる部下」だと思われるのは、レベル1よりもレベル2にある人でしょう。

さらに、レベル3の「支援する人」になると、レベル2までとは大きなちがいが生まれます。それは、「上司の立場からものごとを考えられる」ということ。レベル1、2のように「リモートワークを導入すべきだ」とただ意見をいうことや、自分なりの解決策を提示することは、決して難しいことではありません。

ビジネスミーティング
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では、「参謀級」はなんと提案する?

でも、そもそも上司はリモートワーク導入に対してどんな考えや問題意識を持っているのかを知らなければ、上司の意向に沿った解決策をつくれるわけもないのです。そこで、レベル3の人は、まず上司の考えを確認して、そのうえで情報を収集して解決策を練るのです。

それから、レベル4の「参謀級の人」になると、上司が考えている以上のことを提言するようになります。こういう人は、職場が抱える問題や上司の考えを把握していることは当然として、社外のネットワークを通じてさまざまな情報を入手しています。

そして、「じつは、同業他社のA社ではこういう手法でリモートワークを実現しているそうです。これなら、ちょっとアレンジすればうちにも導入できるのではないですか?」というふうな、上司の悩みを一気に解決できるような提言ができます。