日本は米中の間で立場の選択を迫られる

グローバル・タイムズの論評は、いわば「中国政府の第二の声明」とも呼べるものだ。そのため、内容に政治的目的があるのはいつものことで、この場合は日本にブレーキをかけさせる意図があっても不思議ではない。つまり、中国包囲網がきつくならないようにしたいという目的だ。

しかし、そうだったとしても、多少のニュアンスの差はあれ、「日本政府が米国だけでなく中国との関係にも配慮した」という論評の趣旨そのものはニューヨーク・タイムズなどと大きな差はない。だとすると、少なくともこの件に関して、中国メディアから「釘をさす」以上の日本批判が出てこないこともまた当然といえる。

日米の温度差が鮮明になるほど、「中国包囲網は形だけ」という印象を与えるだけに、米国にとっては都合が悪い。そのため、今後さらに日本を本格的に中国包囲網に組み込もうとしてくるとみてよい。

菅首相は今回の日米首脳会談で従来の方針を大きく変更せずに乗り切ったともいえるが、米中の間で立場の選択を迫られるのは、これからが本番といえるだろう。

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