修理しやすい車の開発に向けて本体と連携

【田中】若い人や初めて乗る人の保険料が高いのは事故率が高いからですが、そこはどのように考えていらっしゃいますか。

立教大学ビジネススクールの田中道昭教授
立教大学ビジネススクールの田中道昭教授

【小寺】初めて車に乗った方は、コツンコツンぶつけて修理が多くなる傾向があることは事実です。そうすると次に考えなくてはいけないのは、壁の手前でピッと止まってくれるような、ぶつからない車を作ってもらうこと。これはわれわれがメーカーと繋がっている強みです。

もう一つ、ぶつかったときの修理代もなんとかしたいですね。たとえばヘッドランプをコツンとぶつけて販売店に行くと、「全部取り換えますね」と言われます。それが「片側25万円です」となる。「保険で支払われるから全部変えたほうがいい」という話になるわけですが、実は巡り巡ってそれが保険代を高くしています。

ならばコツンと当たったときに、丸ごとではなく、部分的に替えるようなランプの構成にすればいい。いままでメーカーはそうしたところに開発の目を向けていませんでした。なぜなら、保険料が高くなってもそれはお客様の負担だったから。しかし、サブスクリプションになると、保険料が今度はわれわれのコストになります。そのため車を作るときに、修理のしやすさも考慮してもらうよう、トヨタにフィードバックしています。

生活環境の変化に合わせて乗り換えやすいサービス設計に

【田中】つまり「安く修理できるクルマづくり」ということですね。トヨタにもそうした盲点があったのですね。コスト面では、他にどのようなところにありますか?

KINTOの小寺信也社長
KINTOの小寺信也社長

【小寺】最初は3年たったら車を返却するというサービス設計にして、「クルマの諸経費込みでお買い得ですよ」と打ち出しました。ただ、3年契約だと、そこまでコスト面で魅力的にならない。そこでいまは5年契約、7年契約つくって、ボーナス払いもできるようにしました。

契約期間中でもお得に別の車に乗り換えることができる「のりかえGO」というサービスもつくりました。たとえば7年契約で、その間は1台にコミットしてくださいというのは無理があります。途中で子どもが生まれたり引っ越したりして、生活がいろいろと変わっていくので、それに合わせてお得に乗り換えていただきたいなと。