「治せる早期」で見つけることが大事
ただし、肺のCT検査を毎年受けていれば、「命が助かる大きさ」で見つけることができます。助かる肺がんの大きさは、直径1.5センチ以下といわれています。この大きさだと、リンパ節への転移はありません。
一方で、健康診断で行われている不明瞭なレントゲン撮影に頼っていれば、「助からない」事態になります。というのも、それまでゆっくり成長していたがん細胞も、1.5センチくらいになると、その後1年で加速度的に大きくなり、リンパ節などへの転移が始まります。こうなっては“手遅れ”なのです。
要するに、私たちががんを「治せる早期」で見つけられるチャンスは限られており、そのタイミングを逃さないのがなによりも大事だということです。
「少し腎機能が落ちてますね」は2年以内に人工透析リスク
同じことが慢性腎臓病にもいえます。
一般的な健康診断で「あなたは少し腎機能が落ちていますね」などと指摘されたときには、「少し」どころか「ひどく」進行しているケースがほとんどなのです。具体的には、2年以内に透析になる可能性が高いと考えていいでしょう。
目覚ましい進歩を遂げている医療の世界にあって、こうしたことが起きるのは、腎臓病の予防と治療に関する分野が最も遅れているからです。あたかも、そこだけストンと抜け落ちたような状況なのです。
しかし、そのことにほとんどの人が気づいておらず、医師すらも理解できていないのが現状です。
そういう意味では、人々の認識が深まっているがんよりも恐ろしい病なのかもしれません。
だからこそ、慢性腎臓病と無縁ではない日頃の不調を「ありがちなこと」と看過せず、100歳まで健康で生き抜く体をつくりあげる意識が大切です。