SNSで感想を発信するのも手

私は、中学時代の友だちと、大学院を卒業するまで毎日のように、読んだ本について1日4~5時間にもわたって語り合う生活を続けてきました。お互いにアウトプットすると、知識が不確かだったところを確認できます。また、難しい本を読んだという達成感がさらに高まる効果もありました。二人で同じ本について話し合うことで、いい意味でプレッシャーがかかり、相乗効果で読解力を高めることができたのです。

齋藤孝『難しい本をどう読むか』(草思社)
齋藤孝『難しい本をどう読むか』(草思社)

人に話すときには、ユーモアを交えることも意識してみましょう。

そもそもユーモアは教養をもとにして成り立つものです。例えば、「尼寺へ行け!」というセリフが通じるのは、シェークスピアの『ハムレット』を読んでいる人だけです。古典からの引用は、一種のゲームのようなもので、特定のシチュエーションに最も適した「セリフ」や「たとえ」を口にする瞬発力が試されます。相手が引用元を知っていれば、面白がってもらえ、会話が知的に深まります。

また、周りの人に話すだけでなく、もっと幅広い読者に向けてSNSで感想を発信するのもよいでしょう。SNSなどで発信すると、自分の表現欲求が満たされ、知的な生物として生きているという手ごたえが感じられるようになります。

最初は、3行程度の箇条書きでもかまいません。感じたことを簡潔にまとめて投稿します。感想を書き残しておけば、後で読み返せます。

「なるほど、こういう内容だったのか」「あのときはこのくらいの理解だったのか」読み返したときに、こういった発見も得られます。

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