支持率は上げようと思うと上がらないもの
支持率とは不思議なものであり、かつコントロール困難なものです。これは政治家を経験して、いやっちゅうほど味わいました(笑)
コメンテーターや政治評論家が、「こうすれば支持率が上がる!」「ああすれば支持率が上がる!」と、したり顔でしゃべっているのを見ると、笑ってしまいます。
机上の論で勉強しただけでは、支持率を掴むということは決してできません。
言えることは、支持率は、「上げようと思うと、上がらないもの」ということです。禅問答のようですが、ほんとそうなんです。
じゃあ、どうしたらいいのか。
それは政治家にしかできないこと、自分にしかできないことを粛々とやっていく。特に、インテリ気取りの一部メディアや学者、コメンテーターたちから批判を受けるようだと、これはしめたもの。野党が騒いでいるだけでも、良い傾向です。支持率が上がる兆候です。
他方、インテリ気取りの連中だけでなく、その他の一般の国民までが批判に転じてくるとここは要注意。民意が離れていく兆候です。
この境目の見極めが難しいんです。
「よくぞ決断した!」と称賛の声も
先日、福島に大量に貯留されている原発の処理水について、菅さんは海洋放出を決めました。
もちろん反発の声が上がります。野党はもちろん、福島の漁業組合、それにインテリ気取りの連中から。
しかし他方で、「よくぞその決断をした!!」という称賛の声も出ています。
僕は、この一件は、菅さんの支持率上昇のポイントになると感じています。
だって専門家の議論も踏まえ、海洋放出しかないという結論は出ているのです。しかも処理水に含まれる放射性物質については、安全基準をクリアすることが前提で、そのような処理水は原発を擁している世界各国においても海洋放出が行われているからです。
もちろん日本の他の原発でも海洋放出されていますし、もっといえば、福島でもこれまで海洋放出されていたのです。
ゆえに、あとは風評被害の問題。
これは、多分に主観的感情的なものであり、住民の皆さんに納得してもらうしかないのですが、いずれにせよ永久に処理水を貯留し続けるわけにはいきません。最後は、責任ある者が決断するしかない。
その決断者は、日本には「総理」しかいないのです。
処理水は、これまで汚染水と呼ばれ、これを海に放出するということになればインテリ気取りの連中や、事情を知らない国民から一斉に反発を受けることは必至で、なかなか総理が決断することはできませんでした。
ゆえに現在に至るまで、決断は先延ばしにされ、タンクに貯留され続けてきたわけです。もうタンクはいっぱいになります。
このような状況の中、菅さんは決断した。まさに菅流です。
この政治家としての決断について、反対する者も多いですが、支持する者も、いわゆる識者の中には非常に多いのです。しばらくは賛否の意見が沸き上がるかもしれませんが、この決断は総理にしかできないということが国民一般に知れ渡れば、菅さんの支持率が上昇する要素になると思います。
(ここまでリード文を除き約1200字、メールマガジン全文は約1万3400字です)
※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.243(4月13日配信)から一部を抜粋したものです。もっと読みたい方は、メールマガジン購読をご検討ください。今号は《【首相に直言!】待ち構える原発処理水、外交・安保問題で「菅さんにしかできないことを粛々と進めてください!」》特集です。