感染者数は10分の1まで激減
日本では、担当の河野大臣まで巻き込んで、コロナワクチン一瓶あたりの接種回数に一喜一憂しているが、先進国で今頃こんな議論をしているのは日本だけである。また1回目のワクチン接種者数も、日本は人口の0.2%にすぎず、英国(37.2%)、米国(31.6%)、EU(11.0%)、カナダ(7.8%)などと比べても、ダントツの「周回遅れ」になっている。いったいなぜこのようなことになってしまったのか? 筆者が住む英国と比較して、その原因を考えてみたい。
英国は今、毎日30~40万人という怒涛の勢いでコロナワクチンの接種を推し進めている。その効果により、1月には日々の感染者数が5~6万人、死者数が1500人程度いたのが、感染者数は10分の1、死者数は7~10分の1にまで激減した。ボリス・ジョンソン首相は6月21日にほとんどの制限を解除するとぶち上げている。
英国の接種プログラムの開始は、昨年12月2日にファイザーのワクチンを世界で初めて承認し、その6日後に90歳の女性に最初の接種を行ったときにさかのぼる。今年1月9日には94歳のエリザベス女王と99歳のフィリップ殿下も1回目の接種を受け、国民に安全性をアピールした。
接種は、医療・介護従事者、80歳以上、介護施設入居者、基礎疾患のある人などから始まり、その後、5歳刻みで対象年齢が下げられ、今は55歳まで下がった。
外国人の筆者にも案内状が
63歳の筆者にも3月4日にNHS(国営医療サービス)から接種の案内状が届いた。
予約のためにNHSのウェブサイトを開き、NHS登録番号、生年月日、郵便番号などを入れると、トイレの有無、点字による表示の有無、車いすの有無など、自分が必要とする設備について選ぶことができる。続いて、自宅から半径5マイル(約8キロメートル)以内にある接種センターが10カ所ほど表示された。
筆者は、その中で一番近い薬局を3月8日の午前10時5分に予約した。サイトには「必ず2回目の接種も予約してください」と書いてあったので、2回目は一番早い5月下旬の日にした。ちなみに英国全土に3100カ所以上(イングランドで約1500カ所)の接種場所が設けられている。