「結婚退職」が前提の職場に、愛情が持てるだろうか

女性皇族も公務をする。外国を訪問したり、式典で挨拶をしたり。だが皇室典範は、「皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」と定めている。「公務」を女性皇族の「仕事」と見れば、これは「結婚退職」の明文化だと折に触れて書いてきた。結婚退職が前提の職場に、愛情が持てるだろうか、と。

しかも皇室という職場は、転職ができない。「天皇及び皇族以外の者と婚姻」することでしか辞められない。そんな職場に勤めることが義務付けられているのが女性皇族で、「一個人」として見るならば、あまりにも理不尽だと思う。

私は、眞子さまが結婚を強く望むのは、皇室から自由になりたいという気持ちがあるからだと思っている。なのに「多くの人が納得し喜んでくれる状況」が見通せず、その道もふさがれている。その苦しさを佳子さまも共有し、だからこそ「自由」を歌に詠んだ。そうだとすれば、すごく切ない話だ。

彼女たちの人生とは、彼女たちの自由とは

そもそも女性皇族は何をするのかについて、誰かが真剣に考えた節がないのだ。美智子さまの薫陶を受け、極めて勤勉だった紀宮さまは山階鳥類研究所の非常勤職員(のちに非常勤研究員)でもあった。その姿は女性皇族のモデルになっている。たとえば眞子さまは、現在、日本工芸会総裁、日本テニス協会名誉総裁、東京大学総合研究博物館特任研究員を務めている。これは紀宮さま型の踏襲だろう。だが、佳子さまは総裁職についておらず、研究員もしていない。まさに、曖昧さの中にいる。

ところで、と言っていいのかどうか、政府による「安定的な皇位継承策」の検討がやっと始まった。「男系男子による継承」にこだわる安倍晋三さんが首相でなくなったところに元首相の森喜朗さんがいろいろ発言したからだろう、男女3人ずつのメンバーによる「有識者会議」が3月23日、初会合を開いた。3月24日の毎日新聞は「皇位継承資格を女性皇族に広げるかや、女性皇族が結婚後も皇室に残る『女性宮家』を認めるかなどが主な論点となる」(朝刊1面)と報じていた。

皇室のメンバーがどんどん減っている。その対策として女性皇族をどう考えるか。それが検討の趣旨だろう。だが、それだけでいいのだろうか。彼女たちの人生とは、彼女たちの自由とは、そういう視点がそこにあるだろうか。佳子さまが飛ばした綿毛は「空」に届くのか。議論の行方が心配でならない。

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