部下を厳しく育てることとパワハラの違い
また、マネジメントに求められるのは、ヒューマンマネジメントとタスクマネジメントだけではありません。
組織のビジョンや戦略を策定する「リーダーシップ」や、人・モノ・カネ・契約・情報などのリスクを管理する「リスクマネジメント」も求められます。
リスクマネジメントで重大なミスを犯すと、年収が下がるだけではなく、最悪の場合、懲戒解雇されることもあり得ます。
パワハラやセクハラまがいの言動は、特に注意が必要です。
2019年5月には、パワハラを防止するための「パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)」が成立しました。大企業では2020年6月1日から、中小企業では2022年4月1日から、パワハラ防止のための措置が義務づけられました。これによって必要な措置を講じていない企業は、是正指導の対象となります。
部下を育てるためには、ときには厳しく注意することも必要です。
それが相手のためを思ってやっていることだと客観的に判断できれば、人事はパワハラとは考えません。
しかし「ストレスが溜まっていたから」「ムカついたから」など、自分のためだけに部下を叱責したり、同僚に悪意のある行動を取った場合にはパワハラと判断します。
セクハラはキャリアにとって致命傷に
セクハラも、「男女雇用機会均等法」第11条によって、防止措置をとることが事業主に義務づけられています。
セクハラの行為者は、懲戒処分の対象となり、社内での信用や地位を失います。また、行為者だけでなく、企業としての社会的信用の失墜も招くことになります。
ただ、セクハラには、明確な基準はありません。
たとえば、女性社員に「髪型を変えたね」「今日の服かわいいね」と声をかけただけでも、相手が不快に感じたら、それはセクハラに当たります。「○○ちゃん」と呼ぶだけでも、セクハラになるかもしれません。
それがどのような場面で起こるかというと、「自分はこの女性と仲がいいんだ」「俺は好かれているんだ」「だから許されるんだ」という間違った自己認識をしている場合です。
こうした「勘違い」が、セクハラ事件を引き起こしてしまうのです。
セクハラは法的責任を問われる可能性が高く、適切な防止策や相談対応をしなかった事業主も、民法上の責任を負うことがあります。
そうなった場合、あなたのキャリアにとって一生残る致命傷となります。人に嫌われるのも、程度問題です。くれぐれも注意してください。