これからの時代に想定される「6つの変化」

ここまで読んだ20代・30代の方は「なんだ、年収が下がるのは中高年のオッサンだけか」と安心しているかもしれません。

ところが、そうではないのです。年功序列の崩壊、少子高齢化の問題は以前から起こっていましたが、2020年の新型コロナウイルス感染症によって社会が大きく変容し、今後も次のような「6つの変化」が想定されます。

① 年功(後払い)給与→時価払い給与(今のパフォーマンスが今の給与に)
② 成果主義が顕著に
③ ジョブ型(職務主義)の導入=役割で給与が決まる
④ 給与ダウンが当たり前に
⑤ 能力主義はなくなる(発揮されない能力に価値はない)
⑥ 隙間役職(部長代理、担当部長など)がなくなる

この「6つの変化」は年齢を問わず、すべてのビジネスパーソンの年収に大きく影響してきます。それぞれ簡単に説明しましょう。

① 年功給与→時価払い給与

年功序列とは、「若いうちは給料が少ないけど、50代ぐらいになったときにいっぱいあげますからね」という「後払い」の給与制度です。だからあまり仕事をしないシニア社員でも高い年収をもらえるわけです。

西尾 太『アフターコロナの年収基準』(アルファポリス)
西尾 太『アフターコロナの年収基準』(アルファポリス)

この仕組みは、昭和の高度成長期に広く普及しました。そのため今でも日本では「給与は上がっていくもの」という感覚が当たり前のように定着しています。

しかし、時代は変わりました。

年功序列は経済が右肩上がりの昭和の時代には成立していましたが、すでに平成も終わり、令和の時代です。給料が高い多くのシニア社員を持て余し、黒字リストラが急増する時代にマッチした制度とは到底いえません。

日本経済が再び右肩上がりになる日は来るのか。これも大いに疑問があります。となると、若いうちは給料を絞られ、我慢して20年、30年働いても、今のシニア社員のようにたくさんもらえることはなく、年をとっても低収入のままかもしれません。

かつての日本では地道にコツコツ頑張り続けていれば、老後に報われることが保証されていました。

しかし、今の日本ではそんな保証はどこにもありません。低賃金のまま、70歳になっても80歳になっても働き続けることになるかもしれないのです。

そのことに気づいている若い世代は、もう古い体質の会社で働こうとはしません。

「何ができるか」が徹底的に問われる

企業側もこうした変化に必死に対応しようとしています。今後は定期的に給与を上げる仕組みをやめ、今のパフォーマンスが今の給与に反映される「時価払い」の給与制度に舵を切る企業が増えていくでしょう。

そうなったときに何が問われるのかというと、パフォーマンスの質です。年齢を問わず「何ができるのか」「何をしたのか」が徹底的に重視されるようになります。何もしないシニア社員は当然給与が下がりますが、それは若手であっても同じです。

あなたは今、何ができるのか。それこそが年収を大きく左右する目安となります。