「エンジニア」×「企業買収」で自分の市場価値が高まった
私自身の例でいうと、もともとエンジニアとしてプログラムを書くという仕事をしており、これが「スキル」のタグとして確立していました。
当時、私が在籍していたヤフーは、企業買収を多く手がけていました。新規事業につながる企業買収を計画する際、どの技術を手に入れるべきかが問題となります。
そこで、技術の判断ができるエンジニアが求められるようになり、私が買収のプロジェクトに関わるようになりました。そうやって仕事をしているうちに、「この会社は技術がイケてる、イケてない」などと判断し、買収候補となる企業を提案できるのは、私にしか出せない価値であると気づいたのです。
それまではぼんやりと「企業買収みたいなことは、偉くて賢そうな上層部がするものであり、自分が立ち入るような話ではない」と考えていた私にとって、自分が「企業買収を手がけた」という経験のタグを持てることに初めて気づいた瞬間でした。
結果として、「エンジニア」と「企業買収を手がけた」というタグを掛け合わせることによって、自分の市場価値が高まったというわけです。
タグのかけ算で希少性を構築する
実際に私は、「企業買収を手がけた」という経験のタグを掛け合わせたことで、これまでのエンジニアとしてのキャリアの延長線上から離れて、リンクトインという場で新たなキャリアを獲得することができました。
人が持っているキャリアのタグは、一つだけで希少なものもあれば、かけ算で希少性が生まれるものもあります。
私のお勧めは、タグのかけ算で希少性を構築する方法です。なぜなら、一つひとつのタグには必ず賞味期限があるからです。
仮に、一つの強力なタグを保持しているとしても、それが5年後にも強力であり続けるという保証はどこにもありません。基本的に希少性のあるタグは確実に陳腐化します。特にスキルのタグは5年も持てばいいほうです。
それを考えれば、一つのタグに固執することのリスクが理解できるのではないでしょうか。