オンライン面接はトラブル発生が前提である

筆者は大手企業で人事を担当していたことや、人事コンサルタントとして企業の面接官研修を担当していたことから、ゼミの学生などから模擬面接を依頼されることがよくある。この2カ月で20回以上、学生の模擬面接をリモートで担当した。オンライン面接は学生、企業ともに慣れが必要だと痛感した次第だ。この面接において、学生、企業ともに陥りがちな失敗を考えてみよう。

前提として、オンライン面接はいかに環境を整えようとも、トラブルが起こり得るものである。学生側はもちろん、企業側においても回線の速度が落ちることは必ずしも防ぐことができない。法人であっても、回線速度が落ちることはある。学生の方はなおさらだ。スマホの4G回線以外にネット環境がない学生もいるし、自宅のWi-Fiなどが必ずしも速くない場合や、テレワークの普及により建物全体でネット回線が重くなっていることもありえる。私が面接を繰り返していた際も、映像が止まったり、動きがカクカクしてしまうことがあった。この際も冷静に対処することが必要だ。企業側も、面接官マニュアルなどで、遅延した際も学生が焦らないように対処するなどの指針を示している。

突然、宅配便の配達などでベルがなる、家族が入ってくる、クルマや電車などが通過し、うるさくなるということもある。学生側も、企業側も取り乱さないことが必要だ。

オンラインでは、反応はできるだけ大きく

互いに反応がわかりにくいのも、面接に限らず、オンラインコミュニケーションの課題である。ビジネスパーソンは普段のオンラインの会議などで体験しているかと思うが、相手の表情、反応がわからず、手応えがないということがあるだろう。これを学生も大変感じている。学生側も、面接官側もできるだけ大きく反応すること、身振り手振りを加えること、反応が乏しくても悪気がないものだと捉えたい。

面接に本来はする側とされる側はない。単なるプレゼンではなく、互いにキャッチボールをすることを意識したい。ただ、これはオンライン面接では悲しきかな、必ずしも実現しない。普段のオンラインコミュニケーションでも実感するかと思うが、前述した回線の問題などにより、テンポのよいキャッチボールは必ずしもできない。会議などでも、回線の遅延やタイミングがつかめず、発言が重なることはあるだろう。学生側も面接官側も一方的に話さざるを得ない場面があることを認識しておきたい。