「就職氷河期再来」と言えるほど求人が悪化しているわけではない

内定状況を見てみよう。就職情報会社各社が発表する2月1日、3月1日時点での内定率はここ数年で最も高い。たとえば、リクルートキャリア社の就職みらい研究所の「就職プロセス調査(2022年卒)『2021年3月1日時点 内定状況』」においては、17.6%(前年+1.8ポイント)となり、2013年卒の調査開始以来最高となった。もちろん、この時点での内定状況は、求人が回復したかどうかとしての指標としては必ずしも参考にならない。単に先食いしているだけだとも言えるからだ。同レポートでも、エリアにおいては関東、業界においては情報通信業が突出しており、地域や業界別に詳しく見なくてはならないデータではある。とはいえ、新卒に関する採用熱を感じる数字ではある。

このように、たしかに、新型コロナウイルスショックの影響はあるものの、就職氷河期再来と断じるほど求人が悪化しているわけではない。現実を直視しよう。

オンライン面接をどうするかという問題

2021年卒の大きなトピックスといえば、なんと言っても新型コロナウイルスショックだ。これにより求人、就活時期などが混乱しただけでなく、方式も大きく変わった。特に企業の採用広報活動においても、選考においてもオンライン化が進んだ。

実は、オンライン化は新型コロナウイルスショック前から、特に地方の学生から求められていた。首都圏の学生においても、23区外の大学に通学する学生、郊外に居住している学生にとっては移動の時間とコストがかかっていた。YouTubeなどと親和性が高い世代が就活生になったこともあり、オンライン会社説明会や面接の取り組みはコロナ前からも行われていた。後述するように、学生側も企業側もコミュニケーションに難を感じる部分などはあるものの、もともとオンライン就活を求める声はあったし、すでに採用広報活動でも、選考においてもコロナ前から一部導入されていたことを確認しておきたい。

経団連による「新卒採用活動に関するアンケート結果」によると、2021年卒の採用活動において、Webによる企業説明会を実施した企業は88.4%、最終面接までWeb活用した企業は63.8%だった。

一方、企業側にも戸惑いはある。「学生の企業理解や動機形成にWebは、評価できない」47.1%、「Web面接は対面面接より評価が難しい」62.7%、「Web面接は通信環境が問題」75.8%など、オンライン就活には課題があることもまた事実である。

2022年卒も企業側も学生側もオンライン対応はマストである。ともに、いかに対応するか。オンライン就活が本格化してから「2期目」となるが、企業側でもまだまだ慣れていないケースが散見される。学生はデジタル・ネイティブ世代ではあるが、就活生は毎年、入れ替わるので、必ずしも面接は慣れていない。

2020年9月29日~10月5日に実施した採用動向調査(千葉商科大学)
出所=千葉商科大学

企業側は何に注目するのだろうか。勤務先の千葉商科大学が、企業639社に対して2020年9月29日~10月5日に実施した採用動向調査がある。それによると、Web面接における学生の映り方について、チェックしている項目(複数回答)で1位となったのは、「表情」で66.8%だった。身だしなみの56.3%、姿勢の43.3%と続く。あくまで、Web面接での映り方に関する項目である。ただ、当たり前のことのようで、学生たちは必ずしもできていない。