キャリアセンターのオンライン面接コーナーを活用する手もある

なお、学生の側で工夫するべきは、カメラアングル、照明、部屋のレイアウトなどだろう。学生の部屋は、必ずしも広くないし、日当たりがよくない場合もあるだろう。ただ、面接をする場として可能なかぎり、ベストになるようにしたい。部屋の中に面接用のコーナーをつくろう。できるだけ背景はすっきりさせる、光の当たり方などに気をつける、顔全体が映るようにカメラアングルを考えるなどしよう。よくある失敗は、カメラアングルにより顔全体が映らず、まるで河童のように頭部の上部が切れている状態で面接をしてしまうことだ。上半身だけスーツで、下はスウェットという状態も急な対応で立ち上がったときにバレることがある。

大学のキャリアセンターでは、オンライン面接コーナーを用意していることもある。こちらの活用も検討しよう。

なお、部屋など映像に映り込んだものについて面接官が必要以上にコメントするのは、ハラスメントである。面接官は注意するべきだが、気になることがあったら記録しておこう。

オンライン面接は慣れが必要だ。学生の側はキャリアセンターや、仲間同士で模擬面接を行い慣れておこう。面接する側も、さまざまなトラブルが発生しても寛容に接する姿勢を大切にしておきたい。何より、自分たちも面接をされているという心構えが必要だ。

何をアピールするのか問題

今年の就活において、学生側が悩むのは「何をアピールするのか」という問題である。特にこの1年間は、新型コロナウイルスショックにより、対面講義が十分におこなわれない、課外活動が制限されるなどにより、学生生活が大幅に制限された。世界的にも「ロックダウン世代」という言葉が生まれている。新型コロナウイルスの影響で、教育や就職の機会や収入を失うなど不利益を受ける可能性のある若い世代のことをさし、国際労働機関(ILO)が報告書で使用した言葉である。

コロナ前から、大学生は「ガクチカ」で悩んでいた。「ガクチカ」とは「学生時代に力を入れたこと」の略である。大学3年生になる頃、就活で企業にアピールするポイントがなくて焦り、何か実績を作ろうとする学生がいる。もともと大学生活は、3年生はゼミ活動が本格化するし、サークルでも幹部となり活躍する。

しかし、新型コロナウイルスショックにより、ゼミなどもオンラインということが多く、フィールドワークなどを行うことができないなどの問題が起きている。サークルの成果を発表する学園祭なども、中止となってしまった。さて、何をアピールするのか?

少しだけ冷静になりたい。ここには、就活に関する根本的な勘違いが存在する。ガクチカは「思い出話」や「自慢話」「武勇伝」と必ずしもイコールではない。価値観、行動特性、思考回路などを理解するためのものであり、事実の確認が基本である。これは別に、ドラマチックな話、1回だけの成功体験を確認するものでもない。エピソードの派手さ、インパクトに引きずられると人事はミスジャッジをしてしまう。地味なことも含めて、物事への取り組み方を判断する。

たとえば、よくある学園祭でイベントを主催し、数百名分のチケットを売り切り、企業のスポンサーもつけて、大成功させたというようなよくあるエピソードも、必ずしもその人が貢献していないということがある。その中でどんな役割で、どんな成果を出したか、勝利の方程式は何かが問われる。趣味やアルバイトのありふれた取り組みでも、物事への取り組み方などを丁寧に見るのが選考のあるべき姿である。