低予算で、男の子の夢を発散させる小洒落た映画を撮ってきたウディ・アレンも映画界からパージされる、などということになれば、もはやこんな他愛もない作品ももうアメリカでは観られなくなってしまうのかもしれない。

面白いのは、ジュード・ロウをはじめとする名優たちが、映画界のわがままな「業界人」を嬉々として演じていること。彼らは本当に楽しかったはずなのだけれども。

昼間からウイスキーでも飲みつつ観たい映画

映画のストーリー自体はいたってシンプルで、大学生のカップルがニューヨークのマンハッタンで過ごす週末とその恋愛模様を描いている。ウディ・アレンの映画はご存じの通り、自分探しをする男性をテーマに、皮肉のきいた人物観察を織り交ぜながら演出していくスタイルだ。女性たちはたいてい強く魅力的で、野心家だったり、無責任だったりして男を振り回す。浮気を夫に知られ、開き直る妻。主人公ギャツビーのガールフレンド、アシュレーは有名人と知り合えたことに舞い上がって、一夜の恋を楽しもうとする。

マンハッタンの大富豪で教養豊かな家に生まれ育ちながら鬱々とした気持ちを抱えるギャツビーは、頭もよくて教養もあるのに人生に喜びを見出せない。いつも晴れやかなブロンドの彼女は、行く手行く手で男を惑わすが、そんな彼女に唯一の慰めを見出していた彼も、同じ穴のムジナなのかもしれない。次第にそんなことに気づきながら、2人はすれ違っていく。アシュレーにすっぽかされ、ギャツビーは母親の主催するパーティーに娼婦を彼女として連れて行くが、もちろんバレバレだ……。

だが、彼は雨の中、新しい恋に出会う。そこに存在するすべてがキラキラと輝いて、雨の中に吸い込まれていく。昼間からウイスキーでも飲みつつ、お気楽で真剣な週末の恋を楽しんでみるのも。

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